メキシコ中部:豪雨で相次ぐ洪水、土砂崩れ──「孤立集落」で支援の遅れ深刻化
2025年10月28日
メキシコ中部で10月中旬、記録的な豪雨によって洪水と土砂崩れが相次ぎ、いまも多くの地域が孤立している。
道路は寸断し、通信も途絶え、住民は食料や医療すらままならない状況だ。長引く悪天候の影響もあり、特に山間部では援助を届けることが難しい。
国境なき医師団(MSF)は、被災地に二つの医療チームを派遣し、基礎医療や心のケア、物資配布といった緊急援助を進めている。
道路は寸断し、通信も途絶え、住民は食料や医療すらままならない状況だ。長引く悪天候の影響もあり、特に山間部では援助を届けることが難しい。
国境なき医師団(MSF)は、被災地に二つの医療チームを派遣し、基礎医療や心のケア、物資配布といった緊急援助を進めている。
断絶するインフラ、残された人びと
メキシコ中部イダルゴ州で10月9、10日、豪雨によって洪水と土砂崩れが発生し、医療や電力、交通、通信といった生活インフラに甚大な被害が出た。
州内のウエウエトラ、テナンゴ、サン・バルトロ・トゥトテペクの3自治体へは、陸路で入ることが依然として難しい。
特に、州東部の山間奥地に位置するウエウエトラの状況は深刻で、生活必需品や医薬品の搬入ができず孤立集落となっている。
ウエウエトラでは、中心部にある診療所はなんとか運営を続けているが、農村部の簡易診療所は機能が大きく制限されている。電力供給が途絶えたことで、ワクチンや医薬品を保管するための冷蔵設備は使えなくなった。
また、豪雨後に残った廃棄物、たまり水などの不衛生な環境から、現地では感染症の流行リスクが高まっている。
「孤立した地域に多くの物資を」
MSFは10月13日から、イダルゴ州に二つの医療チームを派遣した。
派遣先は、1チームがウエウエトラで、もう1チームは州都パチューカ市の空港。この空港には、支援物資の受け入れ拠点の一つとして指定された、保健用の格納庫が設置されている。
派遣先は、1チームがウエウエトラで、もう1チームは州都パチューカ市の空港。この空港には、支援物資の受け入れ拠点の一つとして指定された、保健用の格納庫が設置されている。
MSFのチームは活動開始から1週間で、地域にある人道援助のネットワークと連携しながら、被災地の状況を調査し、被災者の診察を始めた。
特に被害の甚大な地域に入り、医療や心のケアの提供、医療物資の配布をしながら、現地で起きていることを記録し続けている。
MSFの活動は、支援が集中している自治体中心部ではなく、取り残されやすい周辺地域を重視している。
土砂崩れの被害を直接受けていない地域であっても、道路の崩落や通信・電力の遮断によって、住民の生活や健康がいまも危機にさらされている。
10月18日には、医薬品や医療機器、衛生用品を空路で運ぼうとしたが、濃い霧と雨の影響で航空機が着陸できず延期となった。
MSFメキシコ・中央アメリカの活動責任者、アルバート・スターンは今後の展望についてこう話している。
私たちは地方、連邦当局とそれぞれ緊密に連携し、孤立集落にできるだけ多くの物資を届けようと努めています。輸送上の課題はまだ多いですが、ウエウエトラではすでに基礎医療と心のケアの提供を始めました。今後はイダルゴ州の山間部全域に活動を広げていきたいと思っています。
MSFメキシコ・中央アメリカ活動責任者 アルバート・スターン




