未来を取り戻したガザの少年──ヨルダンの再建外科病院で見つけた新たな希望
2026年05月18日
パレスチナ・ガザ地区出身の17歳、マフムードさんは、治療を受けながら理容を学び、自らの未来を切り拓こうとしている。その歩みを追った。
はさみを握る手に戻った力
マフムードさんは2025年7月、アンマンにあるMSFの再建外科プログラム(RSP)にたどり着いた。
2017年のイスラエルによる空爆で負傷し、いまは回復に向けて必要な専門医療を受けている。
体、心、そして未来──包括的に支えるアプローチ
RSPでは、体だけでなく心も含めて回復を考える「包括的なアプローチ」を重視している。RSPはもともと2006年、イラク戦争で重傷を負った人びとを治療するために設立されたが、その後、シリア、イエメン、パレスチナ、ソマリア、スーダンなど中東各地の紛争による負傷者へと対象を広げてきた。
回復は手術だけで完結するものではなく、体と心の両面で多くの困難を伴う。この病院では、中東全域で紛争への対応を長年続けてきた中で、体の回復、心のケア、そして社会復帰を総合的に支える、包括的なリハビリテーションのアプローチを確立してきた。
RSPの患者の多くはマフムードさんと同様、イラク、シリア、パレスチナ、イエメンなど激しい戦闘が続く地域から来ている。彼らの大半が、度重なる避難や愛する人の喪失、そして「当たり前の生活」の崩壊を経験してきた。
そうした人びとにとって回復の出発点となるのは、安全を感じられる環境を取り戻し、生きる目的や未来への希望を再び見いだすことにほかならない。
だからこそ、RSPにおいて中心的な役割を担っているのが、心のケアだ。心理士は一対一、あるいはグループで患者と向き合い、トラウマを乗り越え、徐々に他者とのつながりを取り戻せるよう支援している。
こうしたセッションを通じて、患者たちは再び信頼関係を築き、感情を表現できるようになり、やがて少しずつ孤独から外の世界へと踏み出していく。
「入院したばかりのころは部屋にこもりきりで、誰とも話したくありませんでした」とマフムードさんは振り返る。
現在は治療を受けながら、さまざまな技能を学べる職業訓練プログラムに参加している。修了すれば、退院後の社会復帰を後押しし、収入を得る機会へとつながる。
「プログラムを修了し、ここを離れて海外で働くことが目標です」とマフムードさんは言う。
体調も良くなったので、将来は理容師としてヨーロッパで働きたいです。
マフムードさん アンマン再建外科病院の患者
人生再建への確かな一歩
身体的な制約と心の傷が重なり、日常生活への復帰は極めて困難となる。適切な援助がなければ、依存状態の長期化や尊厳の喪失につながりかねない。
日々の生活にリズムが生まれ、生きる目的を再び感じられるようになります。そして、病院の外に広がる人生を思い描けるようになっていくのです。
エムラン・アラワール RSPの患者トレーニング担当
RSPは、患者が傷から回復するだけでなく、自らの人生を再び歩み出すための大きな一歩を支えている。




