銃撃を受けた私の10日間 中央アフリカ、戦闘の中で市民は

2021年02月25日
フランス・ベルドさんの家の敷地で見つかった銃弾 フランスさんは肩や胸を負傷した © Adrienne Surprenant / ITEM Collective
フランス・ベルドさんの家の敷地で見つかった銃弾 フランスさんは肩や胸を負傷した © Adrienne Surprenant / ITEM Collective

中央アフリカ共和国(以下、「中央アフリカ」)では、昨年12月の大統領選挙・総選挙以来、武装勢力の連合体「変革のための愛国者同盟(CPC)」と、国連軍や外国軍の支援を受けた政府軍との武力衝突が続いている。これにより多くの市民が負傷し、国境なき医師団(MSF)は治療にあたっている。 

フランス・ベルドさん(31歳)は、首都バンギで戦闘に巻き込まれて負傷した市民の一人だ。銃撃を受け、病院に運ばれて退院するまでの10日間を、写真とともに伝える。

家のテラスで受けた銃撃

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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フランスさんが銃弾を受けたのは1月13日のことだ。

「近所にいたら銃声が聞こえたので、家の中に入って隠れました。その後銃撃の音は徐々に止んでいったので、テラスに出て娘と話していました。その時、私に銃弾が当たったのです。そのまま意識を失いました」

流れ弾は、手と胸、肩に命中。フランスさんはバイクでMSFが運営するシカ外科病院に運ばれた。 

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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「病室で意識が戻りました。応急処置とレントゲン撮影の3日後に、手術を受けることができました」 

MSFは2017年に建設したこの病院で、無償で外傷の治療を行っている。シカ 病院には救急処置室と2つの手術室があり、術後のケアや理学療法を含めた総合的な治療を行っている。交通事故に遭った人や、戦闘で銃に撃たれた人たちが入院している。

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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「包帯交換の後、手の理学療法を受けました。マッサージを受け、物を触って感触を確かめ、どれぐらい動けるかみてもらっています。足のマッサージもしてもらったりと、手厚い治療を受けています」 

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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MSFのシカ病院では手術が終わったらすぐに理学療法を始め、患者に障害が残らずよい状態で回復するよう努めている。 

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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1月22日、フランス・ベルドさんは入院治療を終えた。もう帰宅できる。シカ病院の門で、他の入院患者の親族に別れを告げ、これからタクシーに乗って家に帰る。入院中、フランスさんの姉、おば、母が洗濯や食事の手伝いをし、面会時間を待って外で寝ることもしばしばあった。

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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今後もシカ病院には定期的に通って、経過観察とともに、包帯交換と理学療法を受けていく。自宅でも1日2回の理学療法を行い、一日も早く痛みなく体を動かせるようになりたいと考えている。指は前より自由に動くようになったが、前腕はまだ痛い。

フランスさんは、小さな商店を営んできた。痛みが取れて立って歩けるようになったら、商いを再開したいと考えている。 

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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フランスさんにはエスティブ君とジョリヴィアちゃんという2人の子どもがいる。毎朝朝食を食べるこの場所は、母親が流れ弾を受けたテラスだ。 

「子どもたちは戦闘になると学校に通えなくなります。1カ月通っても、また銃撃があって通えなくなるという具合です。子どもたちの安全のために、もう戦闘はやめてほしい。もう一度平和が戻ってきてほしいです」

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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中央アフリカでは長年の内戦ですでに大きな打撃を受けてきた。昨年末からの暴力の激化で、人びとの健康はさらに脅かされている。MSFは負傷者の治療を行うとともに、今後増える可能性がある避難民への援助の準備を進めている。 

© Adrienne Surprenant / Collectif ITEM/MSF
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