【写真で振り返る2023年】シリアからスーダン、パレスチナ・ガザまで──国境なき医師団の活動地から

2023年12月28日
アフガニスタン=2023年4月 Ⓒ Nava Jamshidi
アフガニスタン=2023年4月 Ⓒ Nava Jamshidi

この1年、世界ではいくつもの深刻な人道危機が発生しました。気候変動は人びとの健康に壊滅的な打撃を与え、さまざまな場所で市民が犠牲となる悲劇的な紛争が起きています。
 
残酷で破壊的な戦争が繰り広げられているパレスチナ・ガザ地区では、医療施設への攻撃により、多くのスタッフや患者の命が危険にさらされています。国境なき医師団(MSF)は攻撃により命を落としたパレスチナ人の同僚に心からの哀悼の意を表し、彼らのことをこれからも忘れることはありません。
 
2022年11月から2023年11月までに撮影された写真は、MSFが過去12カ月間に75カ国以上で実施した医療・人道援助活動を映し出しています。

トルコ・シリア地震での緊急対応から、地中海での捜索救助活動、フィリピンにおける結核の啓発活動まで──MSFは援助を必要とする人びとを支え続けます。

写真が語る、人道危機とMSFの活動

レバノン: MSFはアルサルの難民キャンプでコレラの大規模な流行に対応した=2022年11月 Ⓒ Carmen Yahchouchi
レバノン: MSFはアルサルの難民キャンプでコレラの大規模な流行に対応した=2022年11月 Ⓒ Carmen Yahchouchi
パキスタン:大洪水に襲われた、シンド州サンガル近郊の村で、毛布や調理用具などを担ぎ家に戻る村人たち=2022年11月 Ⓒ Asim Hafeez for MSF
パキスタン:大洪水に襲われた、シンド州サンガル近郊の村で、毛布や調理用具などを担ぎ家に戻る村人たち=2022年11月 Ⓒ Asim Hafeez for MSF
バングラデシュ:コックスバザール難民キャンプで暮らすアブドルシャクールさん(右)と自宅から持ち出した荷物を持つ息子。2017年8月に始まったミャンマー国軍による掃討作戦によりロヒンギャの人びとは暴力と迫害を受け、隣国バングラデシュへと逃れた=2022年12月 Ⓒ MSF/Mohammad Hijazi
バングラデシュ:コックスバザール難民キャンプで暮らすアブドルシャクールさん(右)と自宅から持ち出した荷物を持つ息子。2017年8月に始まったミャンマー国軍による掃討作戦によりロヒンギャの人びとは暴力と迫害を受け、隣国バングラデシュへと逃れた=2022年12月 Ⓒ MSF/Mohammad Hijazi
地中海:コートジボワール出身のビントゥさん(左)は、MSFの捜索救助船ジオ・バレンツ号により地中海から救助された。ポラロイド写真には、「Je dois être courageuse pour mes enfants(子どもたちのために勇敢でなければならない)」と書かれている=2022年12月 Ⓒ Mahka Eslami
地中海:コートジボワール出身のビントゥさん(左)は、MSFの捜索救助船ジオ・バレンツ号により地中海から救助された。ポラロイド写真には、「Je dois être courageuse pour mes enfants(子どもたちのために勇敢でなければならない)」と書かれている=2022年12月 Ⓒ Mahka Eslami
中央アフリカ:首都バンギ、PK5地区近くの破壊された家の窓から見える女性と子ども。この町と周辺地域は過去10年にわたり残忍な暴力の舞台となってきた=2023年1月 Ⓒ Adrienne Surprenant/MYOP
中央アフリカ:首都バンギ、PK5地区近くの破壊された家の窓から見える女性と子ども。この町と周辺地域は過去10年にわたり残忍な暴力の舞台となってきた=2023年1月 Ⓒ Adrienne Surprenant/MYOP
シリア:2月6日に発生したトルコ・シリア地震では、MSFはトルコ南部のハマム越境地点からシリア北西部にトラック14台で入国。地震の被災者のためのテントや防寒具を運び入れた=2023年2月 Ⓒ Rami Alsayed
シリア:2月6日に発生したトルコ・シリア地震では、MSFはトルコ南部のハマム越境地点からシリア北西部にトラック14台で入国。地震の被災者のためのテントや防寒具を運び入れた=2023年2月 Ⓒ Rami Alsayed
コンゴ民主共和国:北キブ州にあるブレンゴ国内避難民キャンプ。武力衝突の後、多くの住民が避難を余儀なくされた。MSFは7000世帯以上の避難民に無償の医療援助と清潔な水を提供している=2023年2月 Ⓒ Michel Lunanga/MSF
コンゴ民主共和国:北キブ州にあるブレンゴ国内避難民キャンプ。武力衝突の後、多くの住民が避難を余儀なくされた。MSFは7000世帯以上の避難民に無償の医療援助と清潔な水を提供している=2023年2月 Ⓒ Michel Lunanga/MSF
ウクライナ:MSFが活動するドネツク州コスチャンティニウカ病院の救急入口。ウクライナ軍による周辺地域の奪還後、MSFはここで活動している=2023年2月 Ⓒ Colin Delfosse
ウクライナ:MSFが活動するドネツク州コスチャンティニウカ病院の救急入口。ウクライナ軍による周辺地域の奪還後、MSFはここで活動している=2023年2月 Ⓒ Colin Delfosse
南スーダン:「MSFヘルスケア・アカデミー」の卒業式で自撮りをする看護師たち。MSFでは、現地採用の医療従事者の能力向上を図るために、MSFヘルスケア・アカデミーを運営し研修活動を実施している=2023年3月 Ⓒ Alicia Gonzalez/MSF
南スーダン:「MSFヘルスケア・アカデミー」の卒業式で自撮りをする看護師たち。MSFでは、現地採用の医療従事者の能力向上を図るために、MSFヘルスケア・アカデミーを運営し研修活動を実施している=2023年3月 Ⓒ Alicia Gonzalez/MSF
フィリピン:マニラのトンド地区で地元のパン屋の従業員や客に、MSFの提供する無償の結核スクリーニングで胸部X線検査を受けるよう、MSFのボランティアスタッフが呼びかけている=2023年3月 Ⓒ Ria Kristina Torrente
フィリピン:マニラのトンド地区で地元のパン屋の従業員や客に、MSFの提供する無償の結核スクリーニングで胸部X線検査を受けるよう、MSFのボランティアスタッフが呼びかけている=2023年3月 Ⓒ Ria Kristina Torrente
モザンビーク:サイクロン「フレディ」により破壊された家屋を調査する女性。2月に発生した「フレディ」は観測史上、最も長く勢力を保った熱帯低気圧だと見られ、モザンビークでは水を介して広がるコレラが発生。MSFは対応に当たった=2023年3月 Ⓒ Martim Gray Pereira
モザンビーク:サイクロン「フレディ」により破壊された家屋を調査する女性。2月に発生した「フレディ」は観測史上、最も長く勢力を保った熱帯低気圧だと見られ、モザンビークでは水を介して広がるコレラが発生。MSFは対応に当たった=2023年3月 Ⓒ Martim Gray Pereira
エチオピア:農場で綿花を摘むゲトゥ・カッサさん(中央)と農民たち。彼らは高地出身でカラアザールやマラリアに対する免疫を持っていないことなどから両方の病気にかかりやすい=2023年3月 Ⓒ Amanuel Sileshi
エチオピア:農場で綿花を摘むゲトゥ・カッサさん(中央)と農民たち。彼らは高地出身でカラアザールやマラリアに対する免疫を持っていないことなどから両方の病気にかかりやすい=2023年3月 Ⓒ Amanuel Sileshi
中央アフリカ:バスケットボールの試合中、ボールに手を伸ばすビヤンベヌーさん(左から3人目)。事故により片方の脚を切断した後、MSFの支援で手術と理学療法を受けた。現在は車いすバスケの選手として練習に打ち込んでいる=2023年4月 Ⓒ Kristen Poels/MSF
中央アフリカ:バスケットボールの試合中、ボールに手を伸ばすビヤンベヌーさん(左から3人目)。事故により片方の脚を切断した後、MSFの支援で手術と理学療法を受けた。現在は車いすバスケの選手として練習に打ち込んでいる=2023年4月 Ⓒ Kristen Poels/MSF
アフガニスタン:バーミヤン州の遠隔地バンデ・アミールで学校に通う少女たち。MSFはこの町に地域の人びとのための医療施設を開設し、女性と子どもたちに必要な医療を提供している=2023年4月 Ⓒ Nava Jamshidi
アフガニスタン:バーミヤン州の遠隔地バンデ・アミールで学校に通う少女たち。MSFはこの町に地域の人びとのための医療施設を開設し、女性と子どもたちに必要な医療を提供している=2023年4月 Ⓒ Nava Jamshidi
アフガニスタン:バンデ・アミールにある村の自宅で、女の子の赤ちゃんを連れた母親=2023年4月 Ⓒ Nava Jamshidi
アフガニスタン:バンデ・アミールにある村の自宅で、女の子の赤ちゃんを連れた母親=2023年4月 Ⓒ Nava Jamshidi
スーダン:首都ハルツームに漂う黒い煙。4月中旬、スーダン軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で紛争が始まった=2023年5月 Ⓒ MSF/Atsuhiko Ochiai
スーダン:首都ハルツームに漂う黒い煙。4月中旬、スーダン軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で紛争が始まった=2023年5月 Ⓒ MSF/Atsuhiko Ochiai
ナイジェリア:ソコト水がん(すいがん)病院の中庭でダーツに興じる、水がん患者のラビウさん(右)。この病院は水がん患者にとって、かけがえのない治療と癒しの場になっている。ラビウさんはMSFの医療チームから再建手術を受けた=2023年5月 Ⓒ Fabrice Caterini/Inediz
ナイジェリア:ソコト水がん(すいがん)病院の中庭でダーツに興じる、水がん患者のラビウさん(右)。この病院は水がん患者にとって、かけがえのない治療と癒しの場になっている。ラビウさんはMSFの医療チームから再建手術を受けた=2023年5月 Ⓒ Fabrice Caterini/Inediz
ベネズエラ:息子のホセ・アントニオちゃんを胸に抱いてほほ笑む、母親のアデリアさん。何時間にもわたる陣痛で彼女は疲れ切っていたが、生まれたばかりのわが子を抱き大きな喜びに包まれた=2023年5月 Ⓒ Matias Delacroix
ベネズエラ:息子のホセ・アントニオちゃんを胸に抱いてほほ笑む、母親のアデリアさん。何時間にもわたる陣痛で彼女は疲れ切っていたが、生まれたばかりのわが子を抱き大きな喜びに包まれた=2023年5月 Ⓒ Matias Delacroix
モザンビーク:ベイラにある診療所で同僚と話す、助産師研修生の女性(左)。MSFは、安全な中絶と産科医療を提供する保健省のスタッフの支援を行っている=2023年5月 Ⓒ Miora Rajaonary
モザンビーク:ベイラにある診療所で同僚と話す、助産師研修生の女性(左)。MSFは、安全な中絶と産科医療を提供する保健省のスタッフの支援を行っている=2023年5月 Ⓒ Miora Rajaonary
地中海:リビア沿岸警備隊に捕らえられた木造船から黒煙が上がる。木造船には約50人が乗っていたが、火が放たれる前に沿岸警備隊の船に移された=2023年6月 Ⓒ MSF/Skye McKee
地中海:リビア沿岸警備隊に捕らえられた木造船から黒煙が上がる。木造船には約50人が乗っていたが、火が放たれる前に沿岸警備隊の船に移された=2023年6月 Ⓒ MSF/Skye McKee
コンゴ民主共和国:北キブ州ゴマの国内避難民キャンプにある、水の貯蔵と処理に使用されるタンク。その上をMSFの水と衛生管理の専門家が歩く=2023年7月 Ⓒ MSF/Alexandre Marcou
コンゴ民主共和国:北キブ州ゴマの国内避難民キャンプにある、水の貯蔵と処理に使用されるタンク。その上をMSFの水と衛生管理の専門家が歩く=2023年7月 Ⓒ MSF/Alexandre Marcou
パナマ:南米コロンビアと中米パナマの国境にまたがる未開のジャングル、「ダリエン地峡 」の川を渡り、パナマ国境を目指す人びと=2023年8月 Ⓒ Juan Carlos Tomasi/MSF
パナマ:南米コロンビアと中米パナマの国境にまたがる未開のジャングル、「ダリエン地峡 」の川を渡り、パナマ国境を目指す人びと=2023年8月 Ⓒ Juan Carlos Tomasi/MSF
南スーダン:アビエイ特別行政区にある、木の下に設置された臨時の簡易診療所。MSFはここで村の人びとに診察を行う=2023年8月 Ⓒ Sean Sutton/Panos Pictures
南スーダン:アビエイ特別行政区にある、木の下に設置された臨時の簡易診療所。MSFはここで村の人びとに診察を行う=2023年8月 Ⓒ Sean Sutton/Panos Pictures
リビア:暴風雨「ダニエル」による洪水で、東部の都市デルナは壊滅的な被害を受けた=2023年9月 Ⓒ Halil Fidan/Anadolu Agency via AFP
リビア:暴風雨「ダニエル」による洪水で、東部の都市デルナは壊滅的な被害を受けた=2023年9月 Ⓒ Halil Fidan/Anadolu Agency via AFP
アフガニスタン:3度に及ぶ強い地震に襲われた西部ヘラート。地震が発生してから5日後、自宅だった場所のがれきを掘り起こすアブドルサラームさん(左)とそれを見守る母親=2023年10月 Ⓒ Paul Odongo/MSF
アフガニスタン:3度に及ぶ強い地震に襲われた西部ヘラート。地震が発生してから5日後、自宅だった場所のがれきを掘り起こすアブドルサラームさん(左)とそれを見守る母親=2023年10月 Ⓒ Paul Odongo/MSF
パレスチナ・ガザ地区:父親と抱き合う少年。空爆で負傷した後、北部のシファ病院で治療を受けた=2023年10月 Ⓒ Mohammad Masri
パレスチナ・ガザ地区:父親と抱き合う少年。空爆で負傷した後、北部のシファ病院で治療を受けた=2023年10月 Ⓒ Mohammad Masri
パレスチナ・ガザ地区:北部にあるシファ病院の床で、最低限の麻酔で少年の足を切断せざるを得ないMSFの医師たち。包囲された状況の中、医療施設や医療従事者も不足し始めていた=2023年10月 Ⓒ MSF
パレスチナ・ガザ地区:北部にあるシファ病院の床で、最低限の麻酔で少年の足を切断せざるを得ないMSFの医師たち。包囲された状況の中、医療施設や医療従事者も不足し始めていた=2023年10月 Ⓒ MSF
パレスチナ・ヨルダン川西岸地区:パレスチナ人の誇りの象徴、スイカのモニュメントが、軍事侵攻で破壊された。ジェニンでは10月7日以降、イスラエル軍の暴力的な侵攻が日常化している=2023年11月 Ⓒ MSF/Faris Al-Jawad
パレスチナ・ヨルダン川西岸地区:パレスチナ人の誇りの象徴、スイカのモニュメントが、軍事侵攻で破壊された。ジェニンでは10月7日以降、イスラエル軍の暴力的な侵攻が日常化している=2023年11月 Ⓒ MSF/Faris Al-Jawad

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