新型コロナウイルス:差別と偏見から患者を守る 感染者急増のパプアニューギニアで取り組む心のケア

2021年05月07日掲載

現地の医療スタッフに個人用防護具の着用の仕方を教えるMSFのスタッフ © Leanne JORARI現地の医療スタッフに個人用防護具の着用の仕方を教えるMSFのスタッフ © Leanne JORARI

パプアニューギニアでは、今年に入ってから新型コロナウイルス感染症の患者が急増している。これまでに確認された感染者数は1万1407人、死者数は121人に上り(2021年5月7日時点・世界保健機関)、その大半は首都ポートモレスビーの住民だ。

国境なき医師団(MSF)は、今年4月はじめからポートモレスビーで援助活動を開始。地域の保健当局が運営する、新型コロナ専門のリタ・フリン仮設病院で、中等症から重症の患者の対応を行っているほか、現地で採用した医療スタッフを対象に、個人用防護具の正しい着脱法、酸素療法、急性肺炎の治療法など、さまざまな研修を実施している。

しかしこの国では、新型コロナの治療の他に、もう一つ取り組むべき課題がある。それはこれまで見落とされがちだった、患者の心のケアだ。 

患者の気持ちに寄り添って

 新型コロナウイルスに関しては間違った情報が出回っており、陽性と診断された患者は、周囲からの差別や偏見に苦しむことが少なくない。

MSFのカウンセリングマネジャー、ファンディジル・ミシビは、患者の心のケアの必要性について、次のように語る。

「新型コロナ陽性と診断された人は、戸惑い、恐怖、不安といったさまざまな感情に直面します。多くの人が命を落としているこの病気に対する恐怖に加え、患者さんは一定期間隔離されことへの孤独や絶望感に苛まれることもあります。私たちはカウンセリングを通じて、患者さんの気持ちに寄り添い、回復までをサポートをします」

リタ・フリン仮設病院で、新型コロナ対応の研修を受ける現地スタッフ 🄫 Leanne JORARIリタ・フリン仮設病院で、新型コロナ対応の研修を受ける現地スタッフ 🄫 Leanne JORARI

新型コロナの正しい知識を

ミシビは続ける。「大切なことは、新型コロナ感染症とはどんな病気なのか、理解してもらうことです。メディアや地域ではさまざまな情報が飛び交っていますが、それらすべてが真実だとは限りませんし、実際に誤解やデマもたくさんあります。そのような不正確な情報に惑わされないようにするために、人びとに正しい知識を身に着けてもらう必要があります。それが結果的にマスクの着用、ソーシャルディスタンスの保持、手洗いなど感染対策の必要性を理解してもらうことにつながるのです」

患者とカウンセリングを行う際に大切なのは、新型コロナウイルス感染症について、最初に患者自身がどれだけ正しい知識を持っているかを把握することだ。その上で、情報を一方的に伝えるのではなく、相手の知っていることに基づいて話を進める必要がある。

MSFは今後、入院患者と定期的なカウンセリングを行うと同時に、患者に対する差別や偏見をなくしていくための取り組みについても検討していく。 

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