自然災害が起きる前に──援助団体が連携し備えを強化 モザンビークでの取り組み

2021年09月01日掲載

大雨による洪水で損壊したモザンビークの道路=2019年 © Mohammad Ghannam/MSF大雨による洪水で損壊したモザンビークの道路=2019年 © Mohammad Ghannam/MSF

9月1日は、日本では「防災の日」。気候変動の影響により、世界中で深刻な自然災害が増え、私たちの生活にも多くの影響が出ている。世界でも特に大きな打撃を受けている国の一つが、アフリカ南部のモザンビークだ。この国ではここ数年で巨大なサイクロンに何度も見舞われ、甚大な被害が発生した。災害に備えて加速させている取り組みを、モザンビークから伝える。

48時間以内に動けるように

洪水、サイクロン、干ばつ、そして地震……。さまざまな自然災害がモザンビークの人びとに被害を与えてきた。2019年3月14日には、巨大サイクロン「イダイ」がソファラ州の州都ベイラ市に上陸。数日後には街の8割ががれきと化し、死者は600人を超え、負傷者は1600人に上った。さらに昨年と今年も、ベイラ市を強いサイクロンが襲った。

いまMSFはベイラ市で地域社会と協力しながら、進行性HIV患者への治療を行っている。その活動に加えて、雨期を前に地元組織とともに災害への積極的な備えを始めた。

MSFのロジスティクス・マネジャーを務めるサシャ・メンドーサは、ベイラ市に拠点を置くチーム向けの災害時研修を推進。「災害発生後48時間から72時間以内に対応できるようにすることが、命を守るために重要です。そのために、小規模な緊急対応人員をプロジェクト内に確保します。この街はいつも災害に直面しているので、災害時の準備ができているとチームの皆が感じられるようにしたいのです。

災害対応は、水・衛生、ロジスティクス、医療チームだけでなく、財務やサプライ部門も含めたプロジェクト全体で行います。私たちはまず、『誰が』『なぜ』『いつ』『どのように』という理論から始め、警報システムや準備と対応の行程を改めて確認しました。それから、実践的なシナリオに移っていったのです」 

MSFの水・衛生の専門家が災害直後に水を得る方法を伝えた © MSF/Amanda Furtado BergmanMSFの水・衛生の専門家が災害直後に水を得る方法を伝えた © MSF/Amanda Furtado Bergman

援助団体間で連携 強みを生かし合う 

わずか1週間で、ベイラ市のMSF事務所には模擬コレラ治療センターができ、災害時用の小規模井戸と水処理装置が庭に設置された。そして、環境衛生技術に関する活動のチームリーダーとしてジンバブエで活動しているメトゥ・ニャマザウォが研修で指導。彼は、災害時の備えにはウォータージェット技術(高圧の水噴射で深い穴を開けて水を探すこと)の習得が必要だと話す。

「断水状態に置かれた災害直後、本格的な対応を始める前でも、低コストで人力だけで動かせるこの機器があれば、被災地に駆けつけて水を供給することができます。多くの資材を輸入したり、技術的な設備を使ったりすることなく、地下の帯水層から水を取り出すことができるのです」

今回の研修に参加したのは、MSFのスタッフだけではない。メンドーサはこう話す。「ベイラ市には、サイクロン『イダイ』以来、人道・緊急援助に携わる多くの人たちがいます。彼ら皆を研修に招待しました。目標は、援助関係者との連携を強めて、災害対応に関する『事前合意』を結ぶことで、より素早い対応につなげていくことです。例えば、水や衛生・トイレに強い団体と、医療援助に強いMSFが事前合意を結んでおけば、災害時にはその合意に基づいてより効率的に対応することができるのです。次の災害がいつ起きるか予測はできませんが、災害対応の準備を整えておくことはできます」 

研修にはさまざまな団体のスタッフが参加した © Amanda Furtado Bergman研修にはさまざまな団体のスタッフが参加した © Amanda Furtado Bergman

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