モザンビーク:サイクロン被害へのMSFの対応【情報まとめ】

2019年05月16日掲載

サイクロンで大きな被害を受けた道路(モザンビークで)© MSFサイクロンで大きな被害を受けた道路(モザンビークで)© MSF

3月上旬にアフリカ南部を直撃したサイクロン・イダイ。モザンビーク、ジンバブエ、マラウイなどの各地に、壊滅的な被害をもたらした。その約1ヵ月後には、被災したモザンビークに新たなサイクロン・ケネスが直撃。国境なき医師団(MSF)は、緊急医療援助活動。イダイが直撃した被災地での活動は、おおむね終了に向かっている。2つのサイクロンの被害へのMSFの対応についてまとめた。 

イダイ被害について

イダイの被害を受けた被災者に、せっけんなどを配布するMSFのヘルスプロモーター © Giuseppe La Rosa/MSFイダイの被害を受けた被災者に、せっけんなどを配布するMSFのヘルスプロモーター © Giuseppe La Rosa/MSF

モザンビーク港湾都市ベイラ市では、イダイで広い地域に被害が出た。その6週間後、北部カーボ・デルガード州にケネスが直撃。ケネスによって、町や村に大きな被害が出た。短期間に2つもサイクロンが直撃し、大きな痛手となった。

一方、イダイだけでみると、国内全体で一時被災者7万2793人が、4州65ヵ所の避難所で避難生活を送った(4月22日現在)。現在は、ベイラ市内各地をはじめ、他の被災地でも日常を取り戻している。医療施設、学校、その他の公益事業の多くは再開し、道路や市場は賑わっている。それに伴い、イダイに特化したMSFの緊急援助活動の多くも、おおむね終了している。被災地のニーズが、迅速な対応を求めるものから、長期的な対応を求めるものにシフトしたためで、規模を縮小している。5月末まで、MSFの緊急対応チームは全て活動を終了する見通しだ。被災直後に、ベイラ市ではコレラの流行宣言も出されたが、コレラ流行も終息しつつある。 

ケネス被害について

MSFによって作られたコレラ治療のための仮設テント © MSFMSFによって作られたコレラ治療のための仮設テント © MSF

MSFは、イダイの直撃した直後から緊急医療援助を提供していたおかげで、ケネス被害の緊急対応にも速やかに対応できた。

ケネスが直撃したカーボ・デルガード州では5月2日、ペンバ市とメクフィ地区、9日にはメトゥゲ地区で、保健当局によってコレラ流行宣言が出た。MSFは、現地の医療当局による対応を支援している。コレラの重病患者の命を救い、流行を封じ込めるため、患者を隔離した上で、治療している。ペンバ市、メクフィ地区、メトゥゲ地区には、仮設のコレラ治療ユニット(CTU)が建設された。

ペンバ市の北に位置するマコミア町では、現地の診療所が大きな被害を受けて機能を停止している。MSFは損壊した建物の外にテントを張って、外来診療と産科診療を提供して、地域の医療ニーズに応えている。診療所は今後再建を予定している。 

今後の支援

MSFは今後も、被災者らの健康状態の調査は重要だと考えている。例えば、広大な水たまりがあちこちにあるため、蚊が増えることによるマラリア流行も懸念されている。また、サイクロンが直撃した時期が、農作物の収穫期の直前であったため、今後の食糧事情も課題となると考えている。また、洪水と倒木などで、立ち入り困難な地域があり、ヘリ、オートバイ、ボートを使ってそうした地域に入り、医療援助ニーズの調査が続いている。

イダイ被害をうけたジンバブエでは、MSFは4月30日に活動を終え、国を離れた。マラウイでは、サイクロンの直撃はなかったが、それに伴う豪雨被害で大きな影響を受けた。マラウイでの活動は、4月11日に終えた。 

MSFのサイクロン対応の流れ

3月15日:サイクロン・イダイがモザンビーク・ベイラ市に上陸。

3月18日:MSFの緊急対応チームがベイラに到着。ニーズ調査など開始。

3月21日:被害が最も大きかった一次医療診療所を対象に移動診療を開始。

3月27日:モザンビーク政府はベイラ市内で5件のコレラ症例を確認。市内でコレラが流行していると宣言。

4月2~3日:ベイラ港近くにある工業地帯など複数の地域に、コレラ治療センター(CTC)を開院。ベイラ市郊外のサッカー場にもCTCを開いた

4月3日~10日:国の保健省が、集団予防接種を開始。MSFや、ユニセフ、世界保健機関(WHO)など複数の団体が援助した。80万3125人がワクチン接種を受けた。

4月25日 :サイクロン・ケネスがモザンビークに上陸。カーボ・デルガード州を直撃する。

4月26日 :ケネス被害を受け、ペンバ市に現地入りしていたチームが、サイクロン・ケネスの被害調査を開始。

4月30日 :イダイ被害を受けたベイラ市などで活動していた国際NGOの大半が、活動を終了する。

5月2日 :ケネス被害に関連し、ペンバ市とメクフィ地区でコレラの流行が宣言される。その後、ペンバ市とメトゥゲで、CTC/CTUの建設や支援を開始。 

診療実績

サイクロン「イダイ」
- 死者:602人(4月8日現在)
- 全半壊した家屋:23万9682軒
- 避難生活を送る被災者数:7万2793人
- コレラ症例の報告件数:6596件(4月22日現在)

サイクロン「ケネス」
- 死者:41人
- 被災者数:18万9561人
- 全半壊した家屋:3万7000軒
- 避難生活を送る被災者数:2万890人(4月29日現在)
- コレラ症例の確定件数:65件

(出展:国連人道問題調整事務所(OCHA)より) 

関連情報