ミャンマー地震:国境なき医師団の調査チームが被災地入り──さらなる対応を準備中

2025年04月01日
ミャンマー・クマエの被害の様子=2025年3月30日撮影 Ⓒ MSF
ミャンマー・クマエの被害の様子=2025年3月30日撮影 Ⓒ MSF

ミャンマーで3月28日に起きたマグニチュート7.7の地震で、国境なき医師団(MSF)が送り出した調査チームが中部マンダレーと、東部にあるシャン州南部の被災地にそれぞれ入り、状況把握を始めている。2つのチームは医療、ロジスティクス、水と衛生分野の専門家で構成されており、医療・人道ニーズを調査している。

困難な安全な避難所へのアクセス

ミャンマーでは通信網が遮断されており、紛争も続いている。被害の最も大きいとみられる地域に到達するのは困難で、被害と医療ニーズの全容は、まだ明らかになっていない。しかし、現地調査などを通じて、次のような状況が把握できた。

・ミャンマーではこれまでに2056人が死亡し、3900人が負傷、少なくとも270人が行方不明となっている。

・最大都市ヤンゴンとマンダレー間の高速道路および複数の橋が、崩壊または損傷したと報告された。

・学校、1000床のネピドー病院、政府機関、寺院、モスクなどが被害を受けている。

・多くの建物が被害を受け、人びとは被害を受けた建物に戻るのを恐れている。人びとは水やトイレなど基本的なニーズを満たすことができない。多くの人びとが寺院で夜を過ごしている。

・市内では電力供給が限られており、夜間の状況把握は非常に困難になっている。

・地震はインフラや建物に広範囲にわたる被害をもたらした。 余震により、さらなる倒壊の危険性が高まり、救助活動が困難になっている。また、住民は現在の政治情勢により、恐怖を感じ、安全な避難所へのアクセスが困難になっていると報告している。  

マンダレーの寺院内にできた仮設の避難所。マンダレー市内では3月28日の地震後、電気と水道が止まっている=2025年3月31日撮影 Ⓒ MSF
マンダレーの寺院内にできた仮設の避難所。マンダレー市内では3月28日の地震後、電気と水道が止まっている=2025年3月31日撮影 Ⓒ MSF

課題は迅速で幅広い活動と物資の供給

MSFは主に建物倒壊による外傷の外科治療のため、既存の医療施設のどこが機能し、どこが機能していないか、どこで支援が必要かを把握することに重点を置いている。外科手術、外傷の治療、創傷管理など、救命医療を提供する緊急医療チームの派遣を準備している。

地震の規模と強度を考えると、建物の倒壊による負傷で救急医療を必要とする人びとが多数にのぼると推定される。こうした人びとの救助と治療を急ぐ必要がある。

また、避難や医療施設、安全な飲料水へのアクセスを失ったことで、より弱い立場に置かれるようになった人びとの状況も懸念される。水系感染症や虫媒介感染症などのまん延を防ぐには、迅速な医療援助が不可欠だ。

MSFは積極的にリソースを動員し、関連当局と連絡を取り合っている。ミャンマーおよび近隣諸国のスタッフは、被災したコミュニティのニーズに大規模に対応できるよう準備を進めている。保健省はじめ関連機関と連絡を取っている。

被災したマンダレー市街の様子=2025年3月31日撮影 Ⓒ MSF
被災したマンダレー市街の様子=2025年3月31日撮影 Ⓒ MSF

複雑なミャンマーの状況下でも必要な全ての人に援助を

被害の規模が明らかになるにつれ、さらなる人命の損失と苦痛を防ぐための大規模な支援の拡大が緊急に必要とされている。

現時点で明らかになっている映像や情報の多くは、マンダレーなどの都市部での被害状況であり、遠隔地のニーズを把握し支援を届けるのに時間がかかり、被災した人びとが苦境に立たされる可能性がある。

医療施設は、手術や器具の滅菌などのため安定した電力と清潔な水の供給が必要だ。こうした施設への被害に対しては、緊急の修理や仮設の建物の建設、失った物資の在庫の再供給が必要となる可能性がある。HIV、結核、糖尿病、高血圧など、日常的な治療を必要とする患者には、綿密なモニタリングが必要となる。

ミャンマーの 状況は複雑だ。紛争が続いているため、被害の最も大きい地域では通信が遮断されており、道路や橋が損傷しているため、被害の全容や医療ニーズを把握するのは難しい。

MSFは、民族、宗教、政治的立場に関係なく、医療援助や人道援助が最も必要とされている場所に、支援を届ける。  

命を救う活動を、どうぞご支援ください。

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