【国境なき医師団 海外派遣スタッフが答えます!】後編「紛争地での活動……帰りを待つ家族への思いとは」
2020年10月09日世界各地での医療援助の現場で活躍する、国境なき医師団(MSF)の海外派遣スタッフたち。日本からも、昨年は100人が34の国や地域へと派遣された。行き先となるのは多くの場合、紛争地や貧困国だ。厳しい条件のなかで任務を遂行する彼らは、どのような思いで活動地に向かうのだろうか──。
スタッフへの質問やメッセージを支援者の方々から募集したところ、2700通を超えるハガキをお寄せいただいた。その中から選りすぐった質問に、海外派遣スタッフがお答えする企画記事を、2週にわたってお届けする(前編はこちら)。後編となる今回は、活動に参加するモチベーションや、帰りを待つ家族への思いについて語った。
- Q皆さんの活動には本当に敬意を表したい。実際の現場での仕事はきれいごとで頑張れることではなく、大変でしょう。その背中を押すものは何なのでしょうか。(Aさん)
関 最初は「勢い」だったと思います(笑)。ただ実際に現場へ行き、患者さんたちの顔を見ると、それは「遠い世界」の出来事ではなく、「自分の目の前」の出来事に変わるのです。医師として仕事をする上では、日本と国境なき医師団の現場とで大きな違いはありません。自分はただ「目の前」の仕事をしているだけ、という感覚なのだと思います。
- Q紛争地で危険にさらされながらも、命を救うために現場に立つ皆さんの勇気に感謝しています。皆さんは派遣先に向かうとき、家族に何か伝えますか?(Bさん)
佐藤 家族の気持ちを思うといつも心苦しいです。それでも理解し、送り出してくれる家族に感謝です。とはいえ、活動地ではインターネットが使えることが多いので、SNSなどでよく連絡を取り合っています。
関 家族に特別なことは伝えていません。ただ、現場の状況など、分かっている範囲で時間をかけて話をするようにはしています。
関 家族に特別なことは伝えていません。ただ、現場の状況など、分かっている範囲で時間をかけて話をするようにはしています。
- Q私は医師でも看護師でもない「普通の人」です。寄付以外に何かできますか??何をしてほしいですか?(Cさん)
白川 MSFの現場スタッフの半数近くが、医師や看護師ではない非医療従事者で構成されています。ぜひ採用サイトで、募集職種をチェックしてみてください。また、活動地に行かなくても、私たちの活動を広めてくださったり、スタッフの応援をしてくださったりすることも、私たちの大きな励みになります。ぜひ、できる範囲で参加していただけるとうれしいです。
■海外派遣スタッフの募集情報はこちら
■スタッフのインタビューや体験談はこちら
・外科医 関 聡志
・麻酔科医 佐藤 聖子
・手術室看護師 白川優子