【国境なき医師団 海外派遣スタッフが答えます!】前編「危険な任務……辞めようと思ったことは?」

2020年10月02日
左から麻酔科医の佐藤聖子、外科医の関聡志、手術室看護師の白川優子 © Masahiro Kato
左から麻酔科医の佐藤聖子、外科医の関聡志、手術室看護師の白川優子 © Masahiro Kato

世界各地での医療援助の現場で活躍する、国境なき医師団(MSF)の海外派遣スタッフたち。日本からも、昨年は100人が34の国や地域へと派遣された。行き先となるのは多くの場合、紛争地や貧困国だ。厳しい条件のなかで任務を遂行する彼らは、どのような思いで仕事をしているのだろうか──。

スタッフへの質問やメッセージを支援者の方々から募集したところ、2700通を超えるハガキをお寄せいただいた。その中から選りすぐった質問に、海外派遣スタッフがお答えする企画記事を、前編・後編で二週にわたってお届けする。

Q「命の危険を冒してまでの任務、本当にありがとうございます。辞めようと思ったことはありませんか?」(Bさん・男性)

麻酔科医 佐藤 聖子
麻酔科医 佐藤 聖子
白川 行けば必ず援助につながりますし、医療を届ける喜びは何ものにも変え難いものがあります。やめようと思ったことはありません。むしろまた行かなくてはという思いにかられます。

佐藤 そこまで危険を感じた経験がないからかもしれませんが、一つ派遣が終わっても反省点ばかりですぐに次の活動に参加してリベンジしたくなります。

 正直、つらいと思ったことはあります。ただ、行けばたくさんのスタッフや患者さんに「ありがとう」と言ってもらえ、帰りの飛行機では、また行こう、と思ってしまいます。
Q世界各地で活動されている皆さまお疲れさまです。日々の活動の中で心なごむ景色、風景を目にすることがあるかと思います。それはどんな風景でしょうか?(Cさん・男性)

外科医 関 聡志
外科医 関 聡志
白川 どこに派遣されても、子どもたちが笑っていたりはしゃいで遊んでいたりすると、本当に子どもは世界共通で可愛く、大人をなごませる存在だなぁと感じます。

佐藤 治安の関係上、敷地から出られないことが多いので、早朝によく屋上から町の景色を見ていました。ここが紛争地とは思えないような静寂に不思議な気持ちになりました。

 朝や夕方など、宿舎の屋上から見る地元の人びとが買い物したり、立ち話しをしている風景です。ずっと病院にこもっているので、そこにも普通の暮らしがあると思うと、心がなごみます。
Q活動お疲れさまです!いつも皆さまの熱心で勇敢な行動を尊敬の心で拝見しております。私も将来MSFで活動したいのですが、学生のうちにしておくべきことはありますか?(Dさん・女性)

手術室看護師 白川 優子
手術室看護師 白川 優子
白川 語学(英語かフランス語)で将来仕事ができるようにいまから勉強しておくとよいと思います。あとは、日本国内のことだけではなく、世界で何が起こっているのか、外のことに目を向けてみるのも大切ではないでしょうか。

 自分は語学が苦手ですので、そこで苦労はしています。あとはできるだけ海外と接することでしょうか。旅行などではなくても、日本にいてそういった情報や人と接する機会は、多くあると思いますので。

後編へ続く
※この記事は国境なき医師団ニュースレター『ACT! 』(2019年2月号)より再掲載しました。後編は10月9日公開を予定しています。
※この記事は国境なき医師団ニュースレター『ACT! 』(2019年2月号)より再掲載しました。後編は10月9日公開を予定しています。

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