ISが支配したヤジディ教徒の町 新たな病院が希望の火をともす
2018年11月27日
シンジャルのMSF支援病院で出産したハイファさん(28歳) © MSF
過激派組織「イスラム国」(IS)による性暴力を告発し、2018年のノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドさんの故郷、イラク北部シンジャル地方。2014年8月からISに占拠され、国境なき医師団(MSF)の病院も破壊されました。
攻撃を免れた病院でMSFは診療を再開 © MSF
クルド人自治区の治安部隊によって2015年11月に奪還された後も住民の帰還が進んでおらず、40万人いた人口は10万人弱まで減少しました。現在、この地区に暮らす人の大半がイラクの少数派ヤジディ教徒です。
迫害を受けてきたヤジディ教徒。他都市での受診に抵抗感を抱く人も多い © MSF
「奪還作戦による戦闘で家もインフラも破壊され、医療者は県外へ避難しました。いまだ不安定な治安状況が続く地域もあり、病院はほとんど残っていません」と語るのは、MSFのプロジェクト・コーディネーター、モリス・N・ラムナプス。
MSFは廃虚となっていたシヌニ総合病院を修復し、イラク保健省との協力のもと、今年7月から再び診療を開始。この地域で特に不足している救急と周産期・新生児ケアから始めました。
救急科でレントゲン画像を確認するMSF医師ら © MSF
この地域にはISによる凄惨な暴力の被害者も多く、カウンセリングや精神科のニーズも膨大。2018年末の立ち上げを目指し、MSFはシヌニで心のケアもスタートさせる予定です。