MSFスタッフ殺害 軍の関与が報じられるエチオピア政府は説明責任を果たすべき

2022年03月19日
エチオピア北部ティグレ州の村で移動診療を行うMSFスタッフ=2021年3月 © Igor Barbero/MSF
エチオピア北部ティグレ州の村で移動診療を行うMSFスタッフ=2021年3月 © Igor Barbero/MSF

米紙ニューヨーク・タイムズは3月17日、エチオピアのティグレ州で2021年6月24日に起きた国境なき医師団(MSF)の3人のスタッフ殺害に関する調査記事を掲載した。その内容は、マリア・エルナンデス、テドロス・ゲブレマリアム、ヨハンネス・ハレフォムの3人を殺害した責任はエチオピア国防軍にあり、同軍の司令官がこの殺人事件に直接関与していたというもの。MSFはエチオピア政府がこの報道にしっかりと向き合い、説明責任を果たすよう求める。

あの恐ろしい日に何が起きたのか

ティグレ州で活動中に殺害されたヨハンネス・ハレフォム(左)、<br> マリア・エルナンデス(中央)、テドロス・ゲブレマリアム(右)<br> © MSF
ティグレ州で活動中に殺害されたヨハンネス・ハレフォム(左)、
マリア・エルナンデス(中央)、テドロス・ゲブレマリアム(右)
© MSF
MSFは事件以降、殺害の背景にある全体像と、責任の所在の把握に全力を挙げてきた。しかし、エチオピア当局にも共有したMSFの内部調査の初期結果からは、犯人や動機についての明確な答えは導き出せなかった。

MSFはこれまで、3人が殺害された地域に展開していたエチオピア国防軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)の双方に対し、公開声明や直接対話を通じ、事件との関連を明らかにするよう具体的な要求と質問を伝えてきた。同時に、調査・検討の結果をMSFや遺族に報告するよう求めてきたが、現在も、殺害に至った経緯はおろか責任の所在も明らかにされていない。MSFは、エチオピア政府が調査を継続中との認識であり、調査結果の共有を急ぐよう求めている。

あの恐ろしい日に何が起きたのか——。MSFは全ての当事者から明確な答えを得る必要があり、そのために直接対話を続けていく。エチオピア全土で活動するすべての医療・人道援助従事者の安全を確保し、このような事件が再び繰り返されないためには、適切な対策が即刻講じられる必要がある。マリア、テドロス、ヨハンネスをしのび、家族、友人、同僚の痛みを和らげるには、事件の終結と確かな答えが必要である。

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