「まるで大規模な山火事」 エボラ流行が拡大、治療施設は限界に──コンゴ民主共和国・北キブ州

2026年10月14日
エボラ患者の診察をするMSFスタッフを見守る医療チームのメンバー(手前)=コンゴ民主共和国・北キブ州ブテンボのエボラ治療センターで2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF
エボラ患者の診察をするMSFスタッフを見守る医療チームのメンバー(手前)=コンゴ民主共和国・北キブ州ブテンボのエボラ治療センターで2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF

コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)東部の北キブ州では9月初旬から、エボラ病(エボラ出血熱)の流行が急速に拡大している。

全国で確認された新規感染者のうち、北キブ州の感染者が占める割合は8月末の24%から約40%に急上昇した。毎週のように新たな感染の中心地が現れる一方、治療施設の受け入れ能力は依然として不足している。

国境なき医師団(MSF)は、患者だけでなく、地域全体がさらに大きな危険にさらされている現状に警鐘を鳴らす。

新たな感染の中心地、次々と

「まるで、各地で同時に発生する大規模な山火事と闘っているようです」

MSFが北キブ州・ブテンボで運営するエボラ治療センターのコーディネーター、ステファニー・ホフマンはこう語る。

北キブ州では、場所によって規模や勢いの異なる流行が同時に起きている。ブテンボではここ数日、感染確認者数がわずかに減少している一方、隣接するベニでは増加しているという。

ホフマンは、感染状況は短期間で変わり得ると警戒する。

今後ブテンボやほかの地域で再び感染者が増えないとは限りません。感染の広がり方は週ごとに変化しており、今後の見通しは極めて不透明です。

MSFエボラ治療センターのコーディネーター ステファニー・ホフマン

共用スペースで感染予防のために消毒作業をするスタッフ(中央)=ブテンボのキタトゥンバ・エボラ治療センターで2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF
共用スペースで感染予防のために消毒作業をするスタッフ(中央)=ブテンボのキタトゥンバ・エボラ治療センターで2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF


北キブ州で感染が拡大する一方、専門的な治療を受けられる体制は十分に整っていない。

9月28日時点で、エボラの感染が確認された患者の34%が、専門の治療施設ではない一般の医療施設で治療を受けていた。エボラ治療センターの病床不足や診断の遅れが原因だ。

しかし、こうした医療施設の多くは、エボラ患者の治療に必要な設備や専門知識が不足しており、ほかの患者や医療従事者への感染がさらに広がる危険性を高めてしまう。

ホフマンは、ここ数週間にわたり、治療施設の受け入れ能力が限界に達していると指摘する。

病床が足りないため、感染拡大のリスクが高いと分かっていても、感染が確認された患者を別の施設に転院させざるを得ないことがあります。しかし、そうした周辺の医療施設の中には、エボラの治療に必要な医療水準を必ずしも満たしていないところもあり、強く懸念しています。

MSFエボラ治療センターのコーディネーター ステファニー・ホフマン

鍵は「地域との信頼関係」

推定約200万人が暮らすブテンボ保健区域には、最近までエボラ治療センターが2カ所しかなかった。その後、新たに2カ所が開設されたものの、十分な質の医療を提供するにはより多くの資金が必要だ。

MSFは、地元保健当局によるエボラ対策を支援するため、地域の医療施設3カ所を支えている。

  • キタトゥンバ・エボラ治療センター:対象は感染が疑われる患者と感染が確認された患者。29床を備える。
  • グラベン・カトリック大学(UCG)一時滞在センター:対象は検査結果を待つ感染が疑われる患者。16床を備える。
  • ムシエネネ保健区域一時滞在センター:対象は感染が疑われる患者。5床を備える。
MSFが2026年9月初旬から支援する北キブ州・ムシエネネ保健区域一時滞在センター。エボラ感染が疑われる患者向けのベッド5床を備える=2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF
MSFが2026年9月初旬から支援する北キブ州・ムシエネネ保健区域一時滞在センター。エボラ感染が疑われる患者向けのベッド5床を備える=2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF


しかし、ホフマンは治療施設を増やすだけでは流行は封じ込められないと強調する。

患者を一時的に受け入れる施設や治療センターは不可欠ですが、それだけでは流行を封じ込められません。エボラによる死者の60%以上は、今も医療施設ではなく地域社会の中で命を落としています。

MSFエボラ治療センターのコーディネーター ステファニー・ホフマン

そこで、ホフマンがもう一つ重視するのが、地域住民とエボラ対策チームとの信頼関係。患者が早い段階で自発的に医療機関を受診し、隔離措置を受け入れられるようにするためだ。

信頼関係がなければ、さらに多くの人が命を落とし、周辺地域にも感染が広がる恐れがあります。

MSFエボラ治療センターのコーディネーター ステファニー・ホフマン

MSFは、地域住民に協力してもらうため、地域のリーダーや医療従事者、若者の団体と連携し、エボラ対策への理解を深め、必要な措置を受け入れてもらうための活動を進めている。

衛生管理担当者から消毒を受けるMSFスタッフ(右)=ブテンボのキタトゥンバ・エボラ治療センターで2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF
衛生管理担当者から消毒を受けるMSFスタッフ(右)=ブテンボのキタトゥンバ・エボラ治療センターで2026年9月22日 © Augustin Mudiayi/MSF


しかし、支援のニーズは膨大で、MSFだけでこの危機に対応することはできない。

MSFは、ブテンボなど北キブ州全域で治療施設の受け入れ能力を拡大し、誰もが質の高い医療を受けられるよう、すべての関係者に速やかな対応を呼びかけている。

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