コンゴ民主共和国:エボラの脅威、再び──中央南部の感染拡大に多機関・団体で緊急対応
2025年09月22日
コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の保健省は9月4日、ザイール型によるエボラウイルス病(エボラ出血熱)が国内で新たに発生したと宣言した。
発生したのはコンゴ中央南部・カサイ州ムウェカ地域のブラペ保健区域。この地域は道路状況が悪いうえ、貨物を扱う空港がなく、電力供給も限られていて医療活動は非常に難しい。
国境なき医師団(MSF)は現地にスタッフを派遣し、コンゴ保健省や世界保健機関(WHO)と連携。医療物資の搬入や治療センターの設置、感染管理の強化を通じ、緊急対応に乗り出している。
発生したのはコンゴ中央南部・カサイ州ムウェカ地域のブラペ保健区域。この地域は道路状況が悪いうえ、貨物を扱う空港がなく、電力供給も限られていて医療活動は非常に難しい。
国境なき医師団(MSF)は現地にスタッフを派遣し、コンゴ保健省や世界保健機関(WHO)と連携。医療物資の搬入や治療センターの設置、感染管理の強化を通じ、緊急対応に乗り出している。
16回目のエボラ発生
「今回の発生で、コンゴではエボラの脅威が今も続いていることが分かります」
MSFの感染症専門医、ヒルデ・デ・クレルクはこう強調する。
現地の保健当局によると、9月9日時点で20人以上がエボラに感染し、16人が死亡した。死者の中には医療従事者も数人含まれる。
コンゴでは、1976年にエボラウイルスが初めて確認されて以来、今回で16回目の発生となった。

エボラは、感染した動物の血液や分泌物、臓器、その他の体液に直接触れることで人間に感染する。人から人への感染は、感染者の体液との密接な接触、特に口や鼻などの粘膜を通じて起きる。
デ・クレルクは「近年の進展により治療法は改善されていますが、迅速かつ適切に治療しなければ多くの患者にとって致命的であることに変わりありません。治療とワクチン接種の両方を受けられるようにすることが重要です」と強調する。
多機関・団体で連携対応
MSFは今回のエボラ発生を受けて、すぐに援助チームを現地へ派遣した。コンゴ保健省やWHOと連携しながら、複数の機関・団体による緊急活動に参加している。
ムウェカ地域でエボラが発生するのはこれが初めてではない。MSFは2007年と2008年の発生時にも援助していた。

=2025年9月15日 Ⓒ Fabien Lambertin/MSF
MSFの緊急対応コーディネーター、ブリス・ド・ル・ビーニュは「私たちのチームは今回、ブラペにある総合病院をすぐに支援しました」と説明する。
「例えばトリアージ(重症度、緊急度などによって治療の優先順位を決めること)手順の強化や、必須医薬品と防護具の提供、感染管理、症状緩和ケアの研修をしたのです」
MSFとWHOは病院の敷地内にエボラ治療センターを設置。9月上旬から患者を受け入れ始め、保健省、MSF、WHOのチームが協力して治療している。
さらに、MSFは周辺の医療施設も訪れ、感染管理の手順の徹底や、エボラが疑われる症例に安全かつ的確な対応ができるような研修を医療従事者にしている。
「例えばトリアージ(重症度、緊急度などによって治療の優先順位を決めること)手順の強化や、必須医薬品と防護具の提供、感染管理、症状緩和ケアの研修をしたのです」
MSFとWHOは病院の敷地内にエボラ治療センターを設置。9月上旬から患者を受け入れ始め、保健省、MSF、WHOのチームが協力して治療している。
さらに、MSFは周辺の医療施設も訪れ、感染管理の手順の徹底や、エボラが疑われる症例に安全かつ的確な対応ができるような研修を医療従事者にしている。
対応の正念場──カギを握る治療とワクチン
WHOは、コンゴ国内には2000回分のエボラワクチンがすでに確保されており、数日以内に追加の供給も見込まれると明らかにしている。MSFは、保健当局から要請があれば、接種活動をいつでも支援できる準備ができている。
ド・ル・ビーニュは「MSFは現在、スタッフ十数人がブラペに滞在しており、さらに追加の人員と大量の医療物資を現地に送っています。保健当局と緊密に連携しながら現地のニーズを見極め、監視や住民との協力、ワクチン接種など、必要とされる分野での援助を検討しています」と話している。
