プレスリリース
紛争激化から3年 生存手段を奪われるガザ──イスラエルは破壊と殺害を止めよ
2026年10月06日
パレスチナ・ガザ地区における紛争激化から3年、いわゆる「停戦」合意から1年──。イスラエルは、ガザの人びとから生存の手段を徐々に奪い、ジェノサイド(集団殺害)を続けている。
国境なき医師団(MSF)は各国政府に対し、イスラエルによる破壊と殺害を今すぐ止めさせねばならないと訴える。
ガザを分断し人びとを閉じ込める「イエローライン」
継続的な暴力の中で、パレスチナの人びとは殺害され、負傷し、強制的に移動させられている。医療は崩壊状態にあり、必要な物資の搬入も阻止されている。重要インフラも破壊され、ガザでは人が生きられる場所が失われつつある。
こうした状況をさらに悪化させているのが、イスラエルが設定した「イエローライン」だ。イエローラインは2025年10月に停戦が合意された際、イスラエル軍の第一段階の撤退位置として設定された境界線だ。しかし現在では、軍事拠点や土塁、そして建物の取り壊しによってその存在が強化されている。ラインの東側はイスラエルが支配しており、その範囲は西へ西へと広げられている。その結果、ガザの人びとはますます狭い区域へと押し込められている。現在、ガザの約65%をイスラエルが支配している。
イエローラインが移動するにつれ、近隣住民への脅威はさらに差し迫ったものとなっている。人びとはラインに近づくとイスラエル軍に撃たれる危険があるが、そのラインは明確に引かれているわけではない。MSFは、ラインの周辺で銃撃を受けた人びとの治療を続けている。イエローラインは、必要不可欠な援助の提供も妨げている。ライン近くの地域で銃撃が発生し、MSFが給水車による水の運搬を中止せざるを得なくなったこともあった。
ガザでMSFの緊急対応責任者を務めるアマンド・バゼロールはこう述べる。
イエローラインは単なる地図上の線ではありません。これは包囲と民族浄化の手段となり、生き延びるために必要なインフラや医療、水などから人びとを切り離しています。
MSF緊急対応責任者 アマンド・バゼロール
水は1日6リットル 劣悪な環境で病気が広がる
暴力はイエローライン周辺だけに留まらない。いわゆる停戦下にありながら、MSFはガザ全域で、暴力による外傷への治療を今年6月と7月だけで1200件以上行った。爆発による負傷、熱傷、銃創、身体的暴行などによるものだ。この3年で見ると、意図的な暴力などによる外傷をMSFが治療した件数は20万件を超える。この間、イスラエルの軍事攻撃により、7万4000人を超える人びとが殺害された。この中には子どもも2万人以上含まれている。
ガザの医療活動マネジャーである医師のムラド・アサリヤはこう述べる。
「ほとんどの人にとって、1日に使える生活用水は6リットル未満で、石けんや洗剤などの衛生用品も入手が難しい状況です。MSFは、胃腸炎、急性呼吸器感染症、皮膚疾患、肝炎、細菌性皮膚感染症、疥癬、シラミなどの治療にあたっています。同時に、医療物資の深刻な不足に直面しています」
疥癬の治療に必要なクリームさえ、イスラエル当局によって搬入を制限されているのです。
MSF医療活動マネジャー ムラド・アサリヤ
ガザにおける医療システムの崩壊、全建造物の8割以上の建物の損壊(国連発表)、繰り返される暴力と避難。それらが人びとの生涯にわたって及ぼす身体的・精神的影響は、現在をはるかに超えて続く。そして、今後何年にもわたり実質的な復旧を妨げることになる。
イスラエルによる破壊と殺害を止めるため、各国政府は今すぐ行動を
MSFの診療所を訪れた患者たちは、イスラエル軍による家屋の破壊や、入植者による攻撃を受けたこと、また家畜が奪われたことなどをMSFのスタッフに語っている。パレスチナ人に対する暴力、嫌がらせ、強制移動の政策はガザを越えて広がり、パレスチナのさらなる分断を引き起こしている。
バゼロールはこう訴える。
「この3年間、そしてそれ以前の数十年にわたって引き起こされた被害からの回復には、何世代もかかります。その一方で、イスラエルが続けているジェノサイドの耐え難い影響は、今もなお毎日感じられているのです。破壊や強制移動、剥奪が常態化しており、イスラエルはこうした行為を何の罰も受けないまま続けています」
各国政府は今こそ行動し、イスラエルによる破壊と殺害を止めさせ、民族浄化を阻止するとともに、パレスチナの人びとから生存手段を奪う行為を終わらせなければなりません。
MSF緊急対応責任者 アマンド・バゼロール




