プレスリリース

人道援助をめぐる諸問題を共に考える 「人道援助コングレス東京 2023」を開催 ~顧みられない危機に光を~ 4月11日、17日、18日開催

2023年03月24日

国境なき医師団(MSF)と赤十字国際委員会(ICRC)は、人道援助をめぐる諸問題を共に考える「人道援助コングレス東京 2023」を、4月11日(火)、17日(月)、18日(火)の3日の日程で共同開催します。「顧みられない危機に光を」をテーマに、改めて世界で起きている人道危機打開に向けて、立ちふさがる課題を取り上げます。 

南スーダン、ベンティウにあるMSFの病院で妹を抱く女性。女性は肺炎と高熱を患っていたが順調に回復している ©Sean Sutton
南スーダン、ベンティウにあるMSFの病院で妹を抱く女性。女性は肺炎と高熱を患っていたが順調に回復している ©Sean Sutton

ロシアとウクライナの間で始まった大規模な国家間の紛争は、現在でも多くの人が関心を向けています。しかし世界では、ミャンマーやアフガニスタン、シリアなどでも紛争や人道危機の出口が見つからず、さらには気候変動の影響も受け、より複雑かつ深刻化しています。第4回の開催となる今回は、人道援助の現場を知る識者らが、見過ごされている紛争や、世間の注目を浴びていない病気、常態化する人道問題にあえぐミャンマーの現在、人道・開発・平和に関する各セクターの共存策、知られざるアフリカ大陸北東部の人道状況といった議題について、意見を交わします。援助ニーズが増加の一途をたどる一方で、紛争の悪化や政治的対立などにより援助団体がたどり着くことのできない地域や人びとが存在し、支援の格差が懸念されている現在、人びとが置かれている状況に関心を向けてもらい、理解を深める場となることを期待しています。

2020年にMSFが立ち上げた「人道援助コングレス東京」は、一昨年からICRCと共催を始め、今年は初めて対面のセッションも開催します。国際協力分野の関係者(実務者、政策立案者、研究者等)間の対話促進を目的とする場ですが、民間企業や国際協力を学ぶ学生、危機下にいる人びとを報道するメディアをはじめ、人道援助に関心を持つすべての人がご参加頂けます。 

開催概要

日時:4月11日(火)17:00~18:40
早稲田大学国際会議場井深大記念ホール(〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目20-14)の会場とオンライン配信(Zoom ウェビナー形式)のハイブリッド開催
※申込締め切り
会場参加 4月9日 定員200人
オンライン配信 4月11日(会議終了時まで)定員 1000人

4月17日(月)17:30-21:00 オンライン配信
4月18日(火)17:30-21:10 オンライン配信
※申込締め切り 4月18日(会議終了時まで) 定員1000人

いずれの場合も定員に達した場合には、開催日前に申し込みを締め切る場合があります。

言語:日英同時通訳あり
参加費:無料
詳細・申込:特設ページをご確認ください
問い合わせ:jindo@tokyo.msf.org 

プログラム

(登壇者敬称略)

<4月11日(火)>

17:00-18:40
オープニング&ハイブリッドセッション:
世界的な注目を集める紛争と集めない紛争。その違いはいかに生まれ、どのような影響をもたらしているのか。
世界中から注目を集め支援が寄せられる紛争がある一方で、今なお続いているにも関わらず忘れ去られ、ぎりぎりのところで命を繋いでいる人びとが多くいる。見過ごされた人道危機が直面する現状を把握するとともに、背景をひもとく上で、報道、政策立案、アドボカシーに携わるパネリストに話を聞く。そして参加者とともに、忘れられた紛争に関心を向け、危機下にある人びとへの支援を拡大するにはどのような行動が必要なのか再考する機会とする。
キーノート・アドレス(基調講演):
・ジョルディ・ライク(ICRC駐日代表)
・村田慎二郎(MSF日本事務局長)
パネリスト:
・秌場聖治(TBSテレビ報道局外信部長)
・舟越美夏(ジャーナリスト、龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員)
・金澤伶(Youth UNHCR代表、東京大学3年)

モデレーター:山本理夏(ピースウィンズジャパン海外事業部長)
講評:井土和志(外務省国際協力局 緊急・人道支援課長)

<4月17日(月)>

17:30-19:00

オンラインセッション1:顧みられない熱帯病に立ち向かう
熱帯地域の、特に中低所得国でまん延している「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases=NTDs)」。世界保健機関(WHO)は、推定10億人以上に深刻な健康、社会、経済的影響を及ぼすと発表し、医療機関やNGO、アカデミアなどが様々な角度から解決に取り組んできた。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で、NTDsへの資金援助は縮小され、政策決定者から「顧みられない」という危機に直面している。2023年のG7アジェンダにも挙げられているNTDsについて改めて注目し、現在そして将来の対応について様々な角度から議論することで、この疾患で苦しむ多くの人びとに光を当てる。
パネリスト:
・吉岡浩太(長崎大学熱帯医学・グローバルヘルス研究科准教授)

モデレーター:中谷香(DNDi Japan事務局代表)

19:30-21:00
オンラインセッション2:ミャンマーの今を探る
2017年8月、ミャンマー西部ラカイン州で起きた、国軍とイスラム系住民による武力衝突。隣国バングラデシュの難民キャンプには以前から逃れていた人を含め、100万人近い難民が生活をしている。ミャンマー国内でも、政情不安や経済危機などの事態が重なり、長期にわたる人道上の問題を抱え、アクセス制限、戦闘の継続などにより、効果的に援助を提供することが困難になっている。そうした背景を踏まえ、現状の課題をどう乗り越え、人道的使命を全うできるのか、方策についても議論する。
パネリスト:
・野際紗綾子(AAR Japan[難民を助ける会]支援事業部マネージャー 兼 アドボカシーマネージャー)
・三田真秀(ICRC国際要員、 2022年11月まで保護部門責任者としてミャンマーのICRCシトウェ副代表部に所属)
・森岡慎也(MSF救急医、元ミャンマーラカイン州及びカチン州医療活動マネージャー)

モデレーター:今村真央(山形大学人文社会科学部教授) 

ミャンマー西部ラカイン州でバケツいっぱいの水を運ぶ女性たち。毎年乾季に問題になる水不足は、多くの住民の悩みの種になっている ©ICRC
ミャンマー西部ラカイン州でバケツいっぱいの水を運ぶ女性たち。毎年乾季に問題になる水不足は、多くの住民の悩みの種になっている ©ICRC

<4月18日(火)>

17:30-19:00
オンラインセッション3:人道・開発・平和はどのように共存できるか~人道原則への挑戦?~
人道、開発、平和構築の各セクターを連携させ、危機の根本的な原因に対処し、持続可能な平和をもたらすことを目的とする「人道・開発・平和のトリプルネクサス(連携)」という概念がある。各セクターが事業を実施する上で直面するトリプルネクサスアプローチに対する課題や懸念を共有し、各セクターの協調・協力について議論。人道主義の基本原則が尊重され、損なわれることのないような解決策を模索する。
パネリスト:
・ジョルジア・ニカトーレ(インターピース 平和レスポンシブプログラム プログラムマネージャー)
・坂根宏治(国際協力機構(JICA)スーダン事務所長)

モデレーター:ロマノ・ラスカー(国連開発計画 危機局 危機・脆弱性政策関与チーム プログラムスペシャリスト)

19:30-21:10
オンラインセッション4&クロージング:アフリカの角──国際社会の関心を呼び起こすためには?
アフリカ大陸北東部の「アフリカの角」と呼ばれる地域では、人びとは深刻な干ばつと長引く紛争によって生きるための移動を強いられている。同地域の人道状況を提示するとともに、食料・栄養危機と紛争、そして人道アクセスに焦点を当てながら、国際社会の関心を呼び起こし、今後いかに取り組んでいくべきかについて議論する。
パネリスト:
・アブディ・イスマイル・イッセ(ICRCアフリカの角地域事業統括)
・モニカ・カマチョ(MSF東アフリカ地域人道・外交担当代表)

モデレーター:白戸圭一(立命館大学国際関係学部教授) 

干ばつにより 人間も家畜も生命の危機に(ソマリア、2022年4月)🄫ICRC
干ばつにより 人間も家畜も生命の危機に(ソマリア、2022年4月)🄫ICRC

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