イベント報告
【イベント報告】キーワードは「生きる希望」「変える力」:トークイベント、世界の人道危機の現場と国境なき医師団の活動より
2023年09月18日国境なき医師団(MSF)は、世界の人道危機とMSFの活動を紹介するトークイベントを開催しました。MSF日本会長で救急医・麻酔科医の中嶋優子と外科医の田邉康が、シリアや南スーダンなどの活動地の現状やMSFの対応について、それぞれの経験を交えて紹介。イベントは、難民や移民の人びとが置かれた状況や医療ニーズについて紹介する「エンドレスジャーニー展・札幌~終わらせたい、強いられた旅路~」会期中の9月2日(土)に、同イベント会場内およびオンラインで行われ、合わせて150人以上が参加しました。
会長の中嶋からはMSFが世界各地で医療・人道援助活動を行う国際NGOであることに加え、現地で起きている人道危機を広く世界に伝える「証言活動」も使命の一つとしている点が紹介されました。2009年に初めてMSFの活動に参加して以降、延べ7回の派遣を振り返り、MSFの活動現場では言語や文化が異なっても、誰もが人の助けになりたいという情熱を常に持ち、同じ目標の下で働いていると語りました。
外科医の田邉からは、医師18年目にMSFへの参加を決めたきっかけに続いて、2016年の南スーダンでの活動が共有されました。難民キャンプでは1週間で倉庫を病院に改造し治療に当たったこと、難民の中から採用された医療スタッフとの思い出、物資の足りない状況下、創意工夫で活動を続けたことなどを交え、当時の状況を振り返りました。また、紛争や迫害などにより移動を強いられた人びとの現状を伝える、「エンドレスジャーニー」のキャンペーンサイト動画に出演した際のエピソードも紹介されました。
「MSFに参加するために今からできることは?」という高校生からの質問に田邉は、自分の可能性を信じ、夢を大きく持って一歩一歩進んでいってほしいと回答。続いて中嶋は、日本に生まれた幸運を常に感じ、生まれた場所が違うだけで困難を強いられている人たちにどのような形で貢献できるかを考えながら、いろいろな経験をしてほしいと語りました。
最後の「国境なき医師団をひと言で表現すると?」という問いに対し、2人が用意した答えは「生きる希望」と「変える力」。その真意とは──。ぜひ動画でご覧ください。