イベント報告
【イベント報告】宮崎県延岡市で子どもたちが参加!国境なき医師団を通して世界を考える機会に
2025年03月06日
宮崎県延岡市の主催で、国境なき医師団(MSF)の外科医による講演と、「世界といのちの教室」、「熱帯・毒ヘビチャレンジ!」などの子ども向けプログラムが開催されました。小・中学生の子どもたちから医療者を目指す若者まで幅広い層が参加し、世界で起こっている人道危機や将来の仕事について、MSFの活動を通して考えてもらう機会となりました。
講演「答えは変えられる。世界一新しい国、南スーダンの子どもたちの現状」
2月15日に行った講演では、南スーダンやエチオピア、イエメンの紛争地で活動した外科医の間瀬健次が現地での経験を語りました。テントで作られた病院での手術や、銃で撃たれた人から弾丸を取り除く治療──。日本では経験したことがないけがの対応に、世界中から集まったメンバーと協力して取り組んだと話します。
大学を卒業して石油会社で勤務した後、MSFの医師を志して医学部に入り、40歳で医師になった間瀬。夢であるMSF参加を実現したのは54歳の時でした。そこには、「海外で誰かの役に立ちたい。無理かもしれないが目指す」という強い思いがありました。


約180人が参加した会場からは、「現地で言葉はどうしているの?」「活動中に危険を感じたことは?」と多くの質問が。派遣先では英語かフランス語で活動し、場所によっては現地語の通訳もいることや、エチオピアでは銃声を聞くこともあったという経験が語られました。
講演の最後には、世界で働くことを考える若者に向けてこうエールが送られました。
関心を持っているというのは、すごいことです。ずっと関心を持ち続けること、強く心に思い続けることが大事です。
外科医 間瀬健次
世界といのちの教室 特別編 in 延岡
「世界といのちの教室」は、人道問題を遠い世界の出来事ではなく自分ごととしてとらえ、行動を起こせる人材を育むことを目的とした教育プログラムです。2月15日と16日に「世界といのちの教室 特別編 in 延岡」を開催し、外科医・救急医の渥美智晶と間瀬が講師を務めました。
このプログラムでは、参加者はMSFの医師の立場になって、援助の現場で直面するジレンマを体験します。
紛争地の病院に残された薬は1人分だけ。そこに、同じ病気の子どもが2人運ばれてきました。
あなたが医師ならどうする──?
紛争や貧困など、それぞれの子が置かれた状況を聞きながら、難しい問いへの答えを考えます。自分の考えを他の参加者に伝え、意見の違いに気づくのも大切な時間です。
講師の渥美は、独立・中立・公平というMSFの活動原則を伝えるとともに、「答えがない問いを考えるのは大事なこと」と子どもたちに語りました。

教室の参加者・保護者の感想
国によって救いたくても救えない命があって、ふくざつな気持ちになりました。救える命は救える世界になってほしい。
大きなことに踏み出す勇気はないですが、私自身も、小さな、できることをしていきたいと思いました。
「熱帯・毒ヘビチャレンジ!」や、活動で使うアイテムの展示も
会場では他にも、「熱帯・毒ヘビチャレンジ!」のプログラムを実施。「南スーダンで毒ヘビにかまれた!無事病院にたどり着いて薬を手に入れるかな?」との設定で、世界各地で大きな被害をもたらしている毒ヘビ被害とその治療について子どもたちが楽しみながら学びました。


また、紛争や迫害から逃れて移動を強いられた人びとが残した持ち物や、MSFが活動で使う道具を展示。欧州を目指して命がけで海を渡る人びとが使っていたライフジャケットや、栄養失調の状態を調べるための「いのちのうでわ」など、参加者は実際に触って体験しました。
栄養失調の子どもの腕の太さを体感し、「こんなに細いんだ」と多くの子どもたちから驚きの声が。実際に現場で使われているアイテムを通して、貧困や紛争などの危機の中で生きる子どもたちの状況を伝える機会となりました。
栄養失調の子どもの腕の太さを体感し、「こんなに細いんだ」と多くの子どもたちから驚きの声が。実際に現場で使われているアイテムを通して、貧困や紛争などの危機の中で生きる子どもたちの状況を伝える機会となりました。
MSFは今後も、子どもたちが世界の人道問題を自分ごととしてとらえ、行動につなげられるよう、子どもたちに向けた取り組みを続けていきます。
(本イベントは、「Out of KidZania in のべおか 2025」の同時開催イベントとして行われました)

どちらともたすけたくて、なやんだ。かんがえた。