イエメン内戦:病院に迫る戦闘「毎日、爆音と銃声が聞こえる」医療スタッフと患者に命の危険

2018年11月28日掲載

2016年、サウジアラビア主導の有志連合による空爆で破壊された学校(サアダ、2018年3月撮影) © Agnes Varraine-Leca/MSF2016年、サウジアラビア主導の有志連合による空爆で破壊された学校(サアダ、2018年3月撮影) © Agnes Varraine-Leca/MSF

終わりの見えないイエメン内戦。戦闘が再び激しさを増し、民間人や医療スタッフの命が危険にさらされている。

ホデイダでは11月1日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が率いる連合軍が、反政府武装勢力「アンサール・アッラー(通称フーシ派)」に対する大規模な攻撃を開始。国境なき医師団(MSF)は、市内で運営するアル・サラカナ病院で負傷者の治療にあたっているが、病院付近でも激しい砲撃が発生している。 

病院や医療スタッフも戦闘の犠牲に

「毎日、病院の至近距離から爆音と銃声が聞こえてきます」。MSFのオペレーション・マネージャー、キャロリーヌ・セガンは話す。「前線が病院に接近してきているのです」。

「2015年以降、イエメン国内でMSFの医療施設は通算6回爆撃を受けており、27人が死亡、40人が負傷しました。全ての紛争当事者は、病院などの施設や民間人の保護を徹底すべきです」 

空爆されたコレラ治療センター(アブス、2018年6月撮影)© MSF空爆されたコレラ治療センター(アブス、2018年6月撮影)© MSF

受け入れ先がなく、救えない患者も

ホデイダに残された病院は、アル・サラカナ病院のほか2施設のみ。市の中核病院であるアル・タウラ病院も運営を続けているが、迫りくる戦線はやはり脅威だ。

「民間人が受診できる医療施設は減る一方です。市外の病院へ運ぶには、車で何時間もかかる。銃撃された子どもや合併症を起こした妊婦といった急患が数百キロ離れたモカやアデンのMSF病院まで移送されてきますが、到着した時には手遅れになっています」 

11月1~15日、MSFはホデイダ、アブス、アデン、ハッジャ、モカの病院で戦闘による負傷者510人を治療。うち31人以上が女性、33人が子どもだった。負傷の原因は、おもに銃撃や爆弾によるもの。11月第1週と第2週、アデン市の救急処置室への受入数は前月同期比で56%、モカ市では50%増加。MSFは多数の負傷者に対応するため、アデン、ホデイダ、モカの3病院の病床数を133床から172床に増設した。

アブス市のMSF病院で小児患者を診る医師(2017年9月16日撮影) © MSFアブス市のMSF病院で小児患者を診る医師(2017年9月16日撮影) © MSF

ホデイダでの戦闘が包囲戦に発展すれば、民間人は身動きが取れず、集中攻撃に巻き込まれる可能性もある。今回の攻勢は膨大な犠牲者を出しかねないと、MSFは警鐘を鳴らしている。内戦による正確な死者数は明らかになっておらず、公式の記録では2016年8月以降1万人にとどまっている。しかし、Armed Conflict Location & Event Data Project(ACLED)など監視団体の発表によると、これまでに5万7000人以上が死亡したとみられる。 

「事態がさらに悪化した場合、どうすれば住民が市外へ脱出できるのか、どうすれば公共サービスを受けられるのか——今のところ見当が付きません」(セガン)

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