イベント報告

【イベント報告】世界報道写真展2021連携企画「人道危機の現場、そこに生きる人びとの声」

2021年07月27日

国境なき医師団(MSF)は7月17日、「世界報道写真展2021」との連携企画オンライントークイベントを開催しました。ジャーナリストの浜田敬子さんをファシリテーターとしてお迎えし、2020年世界報道写真大賞を受賞したAFP通信社フォトグラファーの千葉康由さんと、MSFプロジェクト・コーディネーターの落合厚彦が、中東やアフリカ諸国で起きている人道危機や、コロナ禍における医療・人道援助活動、取材活動についてトークを交わしました。

ライブ視聴、アーカイブ視聴合わせて1000人を超える皆さまに視聴いただきました。

ラジオ局のディレクターだった落合がMSFの活動に携わることになったきっかけについて、「目の前で転んだ人がいたら助けるのと同じ気持ちで、離れた場所で人道危機に直面する人びとがいることを知ってしまったことで、何もできない自分に対するもやもやした気持ちを抱え、それを解消するために国境なき医師団に応募した」と話しました。

千葉さんからは「日本にいると、人道危機の世界はまったく別の生活のように思えるが、スーダンなどの取材先で自分が恵まれていることを自覚する場面が多々あった。日本もコロナ禍で大変な生活だが、さらに大変な状況にある人たちのことを少しでも想像してもらえたら。まずは知り、自分の中でひっかかったら行動を起こしてほしい。写真がそのきかっけになれば、撮影した者としてありがたい」とお話がありました。
 

登壇者プロフィール

ジャーナリスト/前Business Insider Japan統括編集長/AERA元編集長
浜田 敬子氏


1989年に朝日新聞社に入社。99年からAERA編集部。副編集長などを経て、2014年からAERA編集長。2017年3月末で朝日新聞社を退社し、世界17カ国で展開する経済オンラインメディアBusiness Insiderの日本版を立ち上げる。2020年末に統括編集長を退任し、フリーランスのジャーナリストに。
「羽鳥慎一モーニングショー」「サンデーモーニング」のコメンテーターや、ダイバーシティなどについての講演多数。著書に『働く女子と罪悪感』。 
ⓒ Sawa Chiba
ⓒ Sawa Chiba
フォトグラファー AFP通信社
千葉 康由氏


朝日新聞社写真部を退職後、フリーランスとなりケニアへ移住。直後に起きた大統領選挙の混乱を機にAFP通信社へ写真提供を始める。同通信社のスタッフフォトグラファーとしてブラジルに移り、サッカーW杯、リオ五輪を取材。現在は東アフリカ・チーフフォトグラファーとしてケニア・ナイロビ在住。
ⓒ MSF/Majd Aljunaid
ⓒ MSF/Majd Aljunaid
国境なき医師団(MSF)プロジェクト・コーディネーター
落合 厚彦


大学卒業後、主にラジオ番組制作業務に従事。ロジスティシャン(物資調達、施設・機材・車両管理など幅広い業務を担当)として2008年よりMSFの医療・人道援助活動に参加。これまでスーダンを含めアフリカ、中東を中心に数多くの活動に携わり、欧州の事務局や日本の自然災害のプロジェクトにも従事してきた。2017年以降は、現場の活動を統括するプロジェクト・コーディネーターとして活動。




<関連記事>
新型コロナウイルス:酸素ボンベが足りないーイエメン新型コロナウイルス治療施設、日本人スタッフの葛藤

世界報道写真展とは
「世界報道写真展」は1955 年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、1月~2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象にした「世界報道写真コンテスト」が開かれ、十数人からなる国際審査員団によって選ばれた入賞作品が「世界報道写真展」作品として、世界中の約120 会場で展示されます。大賞などを含め、受賞作品を紹介する「世界報道写真展2021」は6月12日(土)から東京都写真美術館(恵比寿)で開催します。今年は、「現代社会の問題」、「一般ニュース」、「環境」、「自然」、「長期取材」、「スポーツ」、「スポットニュース」、そして「ポートレート」の全8部門において、28カ国45人の受賞が決まりました。今年は大賞にデンマーク、ポリティケン/パノス・ピクチャーズのマッズ・ニッセン氏の作品「初めての抱擁」が選ばれました。昨年一年間、コロナウィルスと闘っている人間の絆と温もりが撮られています。国境なき医師団日本は、世界報道写真展 2021に協力しています。
 

この記事のタグ

活動ニュースを選ぶ