幼い子どもを襲うはしか 大洪水に見舞われた南スーダン、求められる緊急ワクチン接種

2020年11月17日掲載

はしかの治療を受けた2人の子どもを見守る母親 © MSF/Andreea Campeanuはしかの治療を受けた2人の子どもを見守る母親 © MSF/Andreea Campeanu

南スーダン東部に位置する大ピボール行政区ピボール町で、はしかの流行が深刻化している。

この町で過去1年の間に発生したはしかの流行は、今回で3回目だ。ここ11週間で治療した患者は少なくとも1万5624人に達し、そのうち6290人が5歳未満の子どもだった。この事態を受け、国境なき医師団(MSF)は、南スーダン国内の各保健医療機関・団体に向けて緊急のワクチン接種を開始するよう呼び掛けている。

マラリア、肺炎、重度の栄養失調で高まる重症化のリスク

現地で治療にあたったアデラード・シャカ医師はこう説明する。「はしかの流行が制御できない状態になっています。私たちの医療施設では当初4床だった隔離ベッド数を6床、18床と増やし、現在は30人の子どもが重度のはしかの治療を受けています」

MSFが対応を始めた8月の時点では、患者の大半がピボール町中心部の住民だったが、現在は周辺地域にも拡大している。町から離れた場所に住む人びとが、今年7月以降に起きた大洪水によってできた水たまりや濁流の中を徒歩や小舟で進み、時には1週間もかけてMSFの臨時診療所を受診しに来ることもあるという。

シャカは言う。「流行が拡大し、重症者が増加する背景には、マラリア、肺炎、重度の栄養失調など、この地域で見られる他の疾患が深く関連しています。特に今年は例年のこの時期に比べるとマラリア患者数がはるかに多く、重症化するリスクが高まっています。既に2人の子どもが亡くなっており、集団ワクチン接種を速やかに行わなければさらに多くの犠牲者が出るでしょう」 

重度のはしかにかかった幼い子どもを連れてMSFの診療所を訪れた女性 © MSF/Tetiana Gaviuk重度のはしかにかかった幼い子どもを連れてMSFの診療所を訪れた女性 © MSF/Tetiana Gaviuk

往来が戻る前に一刻も早いワクチン接種を

はしかは伝染性の高い病気で、空気感染が主な感染経路だ。1人の患者が8日間(発疹の出る前後4日間)で12~18人を感染させるとされ、発症した場合の特別な治療法はないことから、予防接種を徹底し、新規感染を防ぐことが対策の要となる。

MSFの疫学専門家ローラ・ライトによると、現在のピボール町の感染率は通常より高く、強い警戒が必要だという。原因は7月から発生している洪水、そして長引く紛争によって、これまで定期的に行われてきた予防接種が中断されたことだ。

ピボール町でMSFプロジェクト・コーディネーターを務めるジョシュ・ローゼンスタインは言う。「へき地に暮らす人びとに、はしかの対応を行うのは容易ではありませんが、このところの洪水のせいで大勢の住民が浸水被害のない狭い土地に避難してきています。つまり人びとが集まっている今こそ、1人でも多くの子どもにワクチンを接種すべき時なのです」

「水位が下がれば人びとは帰宅し、往来も平常に戻るでしょう。そうなればさらに感染が広がってしまいます。流行をくい止め、子どもたちの命を守るために、一刻も早い対応が必要とされています」 

関連情報