エルサルバドル:武装勢力が国境なき医師団の救急車を襲撃
2021年02月12日掲載
救急の現場へと向かう準備をするMSFのスタッフ © David Rodríguez/MSF
2021年1月31日、エルサルバドル中部のイロパンゴ市レパルト・ラスカニャスで、武装集団が国境なき医師団(MSF)の救急搬送チームを襲撃するという事件が発生した。幸いにもこの攻撃による死者・重傷者は出ていないが、MSFは人道援助に向けられた暴力を強く非難するとともに、武装勢力に対し、人びとの命を救う医療を尊重するよう要請する。
救急搬送サービスを始めて1年、医療に向けられた暴力
エルサルバドルは殺人事件の発生率が最も高い国の一つであり、ギャングの勢力争いや治安部隊との武力衝突も頻発している。中でもイロパンゴ市は特に治安が悪く、住民は自由に外出することもままならないという。
そんなイロパンゴ市で、緊急医療を必要とする人たちのために、MSFが2020年1月に開始したのが救急搬送サービスだ。今回の襲撃事件は、サービスを始めてちょうど1年が経過したタイミングで起きた出来事だった。
1月31日午前3時7分、救急の通報を受けて現場へと急行していたMSFの救急搬送チームは、レパルト・ラスカニャスで武装集団に拘束され、医師と運転手が尋問と暴行の被害にあった。事件の後、2人は傷の治療に加え、心のケアも受けている。
人道援助はスタッフの安全が確保されてこそ
「エルサルバドルで2018年に活動を開始して以来、このような安全面の問題が起きたことはありませんでした」と語るのは、サンサルバドル市でMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるルイス・ロメロだ。「私たちが行う援助は、チームの安全が確保されてこそ成立します。命の危機に直面した人びとのもとへと駆けつけるには、誰もが医療活動を尊重すべきです」
この襲撃の後、MSFはエルサルバドルでの医療活動を一時的に中断。チームの安全が確保されるまで、再開することはできない。
MSFは独立・中立・公平の原則に基づいて活動する医療・人道援助団体であり、スタッフへの攻撃は、すなわち現地の人びとの医療の機会を奪うことにほかならない。決して許されないこの行為に対し、MSFは反対の声をあげ続ける。
夜道を走るMSFの救急車 © David Rodríguez/MSF
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