【動画】スーダン:「援助が追い付いていない」 計り知れない人道ニーズ 求められる援助の拡大
2023年10月19日言葉にできないほどひどい
50万人近い国内避難民や難民が白ナイルの10カ所のキャンプで暮らしている現在、状況は危機的です。人びとは仕事や生計手段を失ったままです。もっと悪いのは、この状況がいつ終わるのか誰にも分からないことでしょう。
ヘルスプロモーターとしての私の仕事は、健康について人びとに教え、社会的な側面から彼らのニーズを明らかにすること。最も大事なのは、個人の話に耳を傾け、地域とのかかわりを強化していくことです。そうして聞くことのできたお話を一つ、紹介します。
病院に行きたがらないお母さん
白ナイル州で2番目に大きな難民キャンプであるアルアガヤ・キャンプで、首都ハルツームの紛争から逃れてきた3人の母親に出会ったときのことです。女性の末っ子は栄養失調になっていたので、きちんと治療するためにはキャンプ外の病院に移さなければならないことは明らかでした。しかし、大抵の母親は家族や子どもを置いて遠出をしたがりません。この方も同じでした。
私はお母さんと何時間も話し、子どもを病院に連れて行くことのメリットを説明し、MSFが交通手段と薬を用意しますと約束しました。お母さんは他の2人の子どもをキャンプに残したくなかったので、ためらっていました。お子さんたち全員と一緒に行きましょうと約束したら、ようやく納得がいったようで、荷造りのために帰って行ったのです。
彼女が子どもたちを連れて戻ってくると、驚いたことに一人だけでなく子ども全員が病気になっているではありませんか。どうして他の2人の子どもの状態を私たちに知らせなかったのか聞くと、MSFが全員治療してくれるとは思ってはいなかったそうなのです。
最終的には、お子さん全員を病院に搬送することができました。
誰もが大変な思いを
私も国内避難民ですから、避難民としてキャンプ暮らしをしている方の苦労は身にしみて分かります。ヘルスプロモーターとしての役割と自分自身の経験とのバランスを取るのは難しいものです。ここにいる人たちの話を聞いていると、誰もがその人なりに大変な思いをしてきたと思い知らされます。
やるべきことは山ほどありますが、私たちは3つのキャンプで人道援助活動を行っています。たやすいことではなく、ニーズは膨大です。でも、ありがたいことに、強力なチームがそばにいます。バイタリティにあふれ、毎日私を支えてくれる──チームのメンバーは何にも代えがたい存在です。