「山の日」に考える——世界の山岳地域で生きる人びと
2016年08月11日夏山シーズン真っ盛り。2016年8月11日は、新しい国民の祝日「山の日」となりました。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」として制定され、この日をきっかけに山登りにチャレンジする人も多いのではないでしょうか。
美しく豊かな自然を楽しむことのできる山ですが、一方でそうした地域に暮らす人びとには、山ならではの苦労もあります。国境なき医師団(MSF)の活動する地域でも、山間部ゆえに必要な医療に手が届かない現実があります。記念すべき初めての「山の日」に、こうした人びとに思いをはせていただきたく、美しくも厳しい自然の風景とともにスライドショーをお届けします。
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© MSF 日本の誇る名峰富士山。初の「山の日」にちなみ、世界の山岳地域で生きる人びとを写真特集で紹介。
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© Andrea Bruce/Noor Images 山岳地帯が国土の大部分を占めるアフガニスタン。大陸性の気候は厳しい冬の寒さをもたらす。首都カブール近郊のこの乾いた地では、MSFの移動診療が唯一の健康のよりどころだ。冬に備え、親子は土でできた家の屋根を修復する。(2013年8月撮影)
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© Phil Moore 多くの武装勢力が争い、人びとの暮らしが戦闘に分断されるコンゴ民主共和国東部のマシシ地域。国境なき医師団(MSF)が目指すのは、山奥の集落。大勢の子どもと妊婦に、予防接種を届けるためだ。武装勢力の検問を通過し、やぶに分け入り、道なき道を進む。徒歩で数日かかる道のりだ。(2014年8月撮影)
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© Yasuyoshi Chiba/Duckrabbit コンゴ民主共和国の東部マシシ。MSFが支援する病院前に左足を失った男性がたたずむ。目の前に広がる山間地域は別名「千の丘」と呼ばれ、長年にわたって多くの武装勢力が争う舞台となってきた。政治的、経済的な利害が複雑に絡む武力紛争。暴力の犠牲になるのはいつも弱い立場の人びとだ。(2011年10月撮影)
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© Frederik Matte/MSF ハイチ北部アルティボニット県、チャオス山から地平を見つめるMSFの現地医師。MSFは近くの村でコレラ治療センターを運営している。県の中心より車で2時間、さらに山道を徒歩で5時間かかる場所にあるその病院は、この地に暮らす人びとにとっての命綱になっている。(2011年10月撮影)
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© Andre Francois アフリカ南部レソトで、MSFによるHIV/エイズ治療のための薬の配布に集まる人びと。この国はアフリカのイメージを覆す山岳国家。「天空の王国」とも称され、平均標高は1400mを超える。多くの人びとは何時間も歩いて医療施設に向かうしかないが、吹雪などの厳しい気候がさらにそれを難しくさせる。(2012年8月撮影)
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© Michael Goldfarb/MSF レバノン東部に広がるベッカー高原。ここには母国の内戦を逃れた約36万人のシリア人難民が暮らしている(出典:国連高等難民弁務官事務所)。夏の気温は40度を超え、冬には大雪に見舞われるこの地域は、紛争に疲弊した難民たちにとってつかの間の安住の地にもならない。(2013年1月撮影)
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© Jacob Zocherman イエメン北部アムラン州。MSFは州内に2軒しかない病院の1軒を運営している。普段は写真のような山岳地域からの患者も受け入れていたが、紛争の影響で燃料価格が高騰。人びとは病院に来ることもままならず、手遅れの状態で運ばれることも多い。(2013年月撮影)
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© Brian Sokol/Panos 2015年4月にネパールを襲ったマグニチュード7.8の地震は、8500人を超す犠牲者と、多くの建物の倒壊や、雪崩、土砂災害など、甚大な被害をもたらした。また山間部では、道路の分断などで孤立村落が多数発生。MSFはヘリコプターと徒歩で援助を行った。(2015年5月撮影)
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© Lana Abramova ロシア連邦チェチェン共和国の山岳地域。女性は超多剤耐性結核を患っていた。2006年に初めて結核と診断されてから入退院や手術を繰り返した。治療薬の苦しい副作用に悩まされ、いっそ死にたいと夫に訴えたこともあった。しかしMSFのもとで新薬による治療を受けることができ、ついに病気を克服した。(2014年8月撮影)
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© MSF 豊かな自然に親しみ、楽しい山の日を!