パキスタン洪水:被災した人びとに医療や水を──緊急援助を展開

2022年09月01日
被災し避難してきた人びとへ救援物資を配布(バルチスタン州クエッタ) © MSF
被災し避難してきた人びとへ救援物資を配布(バルチスタン州クエッタ) © MSF

豪雨による洪水で、3300万人が被災したパキスタン。国境なき医師団(MSF)は、移動診療を展開して医療を提供するほか、石けんや蚊帳などの物資を配布。また、給水所を設置して清潔な水を提供している。甚大な被害に、援助の拡大が急務だ。

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国土の3分の1が水没 コレラなどのリスクも

モンスーン(雨期)の例年にない豪雨により洪水が発生し、パキスタン当局によると国土の3分の1が水没した。

国の南部と中部、特にバルチスタン州とシンド州では、今シーズンに例年の4倍を超す雨が降り非常に深刻な被害を受けた。これまでに全国で死者は1000人以上、けが人は1500人以上に上っている。

清潔な水、避難所、衛生・排水設備が広い範囲で求められているが、道路が冠水して食料も物資も不足。複数の人道援助団体がこれらの提供に取り組んでいる。

清潔な水の不足と衛生環境の悪化により、コレラなどの水系感染症の発生リスクも高まっている。さらに、デング熱やマラリアなどの増加も懸念される。まだモンスーンの季節が続き、今後も豪雨が予想されることから、洪水被害を受けやすい地域に避難している人びとの保護が必要だ。 

MSFが行っている移動診療 © MSF
MSFが行っている移動診療 © MSF

バルチスタン州で移動診療や給水を展開

バルチスタン州では、33郡のうち31の郡が深刻な被害を受けている。MSFは迅速に対応し、道路沿いや学校、避難所などに避難した人たちへ基礎医療を届けている。自身の家が被災したスタッフも活動に当たった。

2週間にわたって洪水が続いた同州のデーラ・ムラド・ジャマリでは、移動診療を開始し、基礎医療の提供と健康教育活動を行っている。移動診療は毎日行い、現在はデーラ・ムラド・ジャマリ周辺の3カ所を訪問。特に、呼吸器感染、発熱、皮膚疾患、下痢を患う人が多い。栄養失調の検査も行っている。
 
またMSFは、給水所を設置して清潔な飲料水を提供するほか、石けん、バケツ、調理器具、蚊帳などの救援物資を配布している。
 
同州ではこのほか、北西部のキラ・アブドゥッラー県でニーズ調査を実施。アフガニスタンとの国境に近いクエッタとチャマンでも活動を行い、クエッタ市内に緊急用の給水所を設置し、約300セットの救援物資を配布した。チャマンでは、破損した水道管の修理や、救援物資の配布、移動診療所の運営を開始した。

バルチスタン州デーラ・ムラド・ジャマリでの給水の様子 © MSF
バルチスタン州デーラ・ムラド・ジャマリでの給水の様子 © MSF

援助を求める人びとのもとへ

道路が崩壊し移動が困難な中、MSFは人びとが避難しているシンド州ダードゥ県のキャンプに到着した。伝統的な泥壁の家屋は5〜6割が洪水で損壊し、川岸で生活している人も少なくない。
 
清潔な飲料水や衛生用品キットのほか、皮膚感染症や下痢の予防などはすぐに必要だ。現在MSFはニーズを調査し、水系感染症などが発生する事態への準備を進めている。
 
また、パンジャブ州とハイバル・パフトゥンハー州の複数の地域でもニーズ調査を進めている。

被災してテントで過ごす人びと(シンド州) © MSF
被災してテントで過ごす人びと(シンド州) © MSF

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