新型コロナウイルス:変異株による影響 第2波で感染者数が激増したマラウイ

2021年02月02日掲載

急速にひっ迫するマラウイの医療現場。MSFは重症患者の増加に対応するため、コロナ専門病棟を増設 © Marion Pechayre/MSF急速にひっ迫するマラウイの医療現場。MSFは重症患者の増加に対応するため、コロナ専門病棟を増設 © Marion Pechayre/MSF

昨年は新型コロナウイルスの影響を比較的免れることができた、東アフリカの国マラウイ。しかし第2波で、いま感染状況が激変している。先月初旬の数週間で感染者数は4~5日ごとに倍増し、医療体制はすぐさまひっ迫。国境なき医師団(MSF)は保健当局の要請に応じて、重症患者の急増に対応する緊急援助を開始した。

MSF新型コロナ対策チームで活動するファブリス・ワイズマンに、マラウイの現状を聞いた。

マラウイでの新型コロナ感染状況を教えてください。

12月中旬から猛スピードで感染が広がっています。当初の新規感染者は、南アフリカ共和国から帰国したマラウイ人労働者が大半を占めていましたが、現在ではほぼ国内感染によるものです。

この第2波は、南アで見つかった変異株500Y.V2が原因だと考えられています。最近の研究によると、この変異株は従来のものより1.5倍ほど感染力が強い。そのため入院治療を必要とする患者数も急増し、その数は1月に入ってから週ごとに倍増しています。

マラウイでの流行が(9週間で第2波がピークに達した)南アフリカと同じパターンを辿るとすれば、2月中旬までは重症患者数が増加する一方でしょう。感染が最も集中しているのは首都リロングウェと、南部にある第二の都市ブランタイヤで、人口は合わせて200万人ほどです。

ブランタイヤにあるクイーン・エリザベス中央病院では、MSFががん治療プログラムを運営し、新型コロナ患者も受け入れていますね。現場はどのような状況にありますか?

年明けは12人だった重症の入院患者数は、1月21日までに107人まで増えました。この病院ではコロナ患者を最大でも80人しか受け入れられないので、定員を超えています。このため特に人材、医療機器や消耗品、それに酸素供給の面で病院に過剰な負担がかかっています。院長は緊急援助を要請し、それを受けて私たちは対応を開始しました。

現時点での優先事項は?

いま最も優先すべきことは、現場のスタッフを守ることです。少なくとも稼働できるだけの人員を確保しなくてはなりません。この10日間で10人以上のMSFスタッフが陽性と診断されました。幸い彼らに重篤な症状は出ていませんが、活動運営には多大な影響があります。

次に重要なのは、この病院に来る患者の死亡率を減らすことです。クイーン・エリザベス中央病院はブランタイヤで唯一、重症患者を受け入れている公共病院です。私たちは病院チームを補強するために医療従事者を50人追加採用し、酸素供給の管理でも協力しています。酸素は患者の生命線ですが、その需要は国の生産能力をはるかに超えており、ボンベや酸素濃縮器を輸入して賄っている。それもまた供給不足だというのが現状です。

マラウイでの第2波に対し、MSFはどのような援助を行っていますか?

同病院で人員や酸素、技術支援などを提供するほか、40床のコロナ専用病棟を増設中です。これは院長や地域の保健当局の要請に応じたもので、MSFが全ての設備を整え、スタッフを配置する予定です。

いま問題なのは、医療現場がひっ迫するほど患者が病院へ押し寄せている一方で、多くの重症者が来院せず、自宅で亡くなっている可能性が高いということです。そのため次なる目標は、重症患者を早期に搬送できるよう体制を改善し、一人でも多くの命を救うことです。

ただ、この第2波による感染者と死者の急増を抑えるためには、緊急にワクチン接種を行う必要があります。しかし今年4月までにマラウイで接種を受けられるのは、ほんの一部の人に限られるでしょう。その頃にはすでに流行がピークに達し、ワクチンで救えたはずの大勢の人が亡くなっている事態も予測されます。

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