新型コロナウイルス:国境なき医師団、レバノン全域でワクチン接種を開始

2021年04月01日掲載

介護施設の入居者に新型コロナワクチンの接種を行うMSFスタッフ © Tariq Keblaoui介護施設の入居者に新型コロナワクチンの接種を行うMSFスタッフ © Tariq Keblaoui

国境なき医師団(MSF)はレバノン公衆衛生省との合意に基づき、介護施設の高齢者と医療従事者を対象とした、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を3月19日より開始。東部のバールベック地区、ベッカー高原ヘルメル地区、南部の南レバノン県アッバシヤ、中部の山岳レバノン県ズークおよびハマナを起点に国内全域へとチームを派遣し、3月26日時点で1050人へのワクチン接種を完了した。

リスクの高い人びとへワクチンを届ける

レバノンでMSFの活動責任者を務めるジュリアン・レクマンは言う。「高齢者や医療従事者は特に感染リスクが高く、優先的に接種を進めなければなりません。国内のすべての人に接種の機会を保障しようというレバノン当局の努力を、MSFは歓迎しています」 

高齢者が接種会場へ足を運ぶことは難しいため、MSFは複数の予防接種チームを編成し、介護施設を訪問してワクチン接種を行っている。対象となる施設と接種基準は、世界保健機関(WHO)の勧告に従い、公衆衛生省が定めている。

「3月24日にはレバノン山脈地方の十字架精神科病院に行きました。ここは国内最大の老人介護施設の一つで、精神疾患のあるお年寄りが入居し、ケアを受けています」と語るのは、MSF医療コーディネーターのタニア・ハチェム。「3つのチームを施設へ派遣し、ワクチン接種の理由と手順を丁寧に説明しました。患者さんや施設職員の皆さんとしっかりとコミュニケーションをとり、1日で400人近くの方にワクチンを接種することができました」

MSFによるワクチン接種を受けるには、保健当局のサイト上で事前登録を行う必要がある。ワクチンは保健当局が供給し、接種の際には、事前登録と患者の同意を再度確認する。

MSFのチームが介護施設を訪れ、高齢者にワクチン接種を行った © Mohamad Cheblak/MSFMSFのチームが介護施設を訪れ、高齢者にワクチン接種を行った © Mohamad Cheblak/MSF

政治・経済危機に直面するレバノンでMSFが行う取り組み

レバノンは2019年後半以降、過去最悪の経済危機に直面し、社会不安や政治的混乱が続いている。医療体制もひっ迫する中、新型コロナワクチンへのアクセスは、コロナ対応における重要な要素だ。

MSFはレバノンでのワクチン接種を支援するほか、新型コロナウイルスへの対応として、以下の取り組みを行っている。

  • バール・エリアスの病院を、一時的に20床の新型コロナ専門施設として使えるよう整備。
  • ザーレ市のイリヤース・ハラーウィー病院で、新型コロナ集中治療室(ICU)の病棟を支援するとともに、トリアージ(※)を行う救急処置室の活動を調整・拡大。
  • 国内複数の場所で、新型コロナウイルスの検査と健康教育活動を実施。
※トリアージ:重症度や緊急度などにより治療の優先順位を決めること。

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