新型コロナウイルス:新しい技術と工夫——カンボジアでMSFが行う感染症対策

2020年07月06日掲載

陽性患者の接触履歴調査について、現地の医療従事者に説明を行うMSFスタッフ © MSF陽性患者の接触履歴調査について、現地の医療従事者に説明を行うMSFスタッフ © MSF

限られた医療器具……求められるのは新たな発想と工夫

6月末時点で、141件の新型コロナウイルス感染例が確認されているカンボジア。感染が拡大している他の多くの国と同様、この国においても新型コロナウイルス患者の治療に必要な医療器具の輸入は大幅に制限されている。特に人工呼吸器を用いた治療については、新たな対応策の構築が求められた。

国境なき医師団(MSF)はカンボジアで、医療ニーズの急激な高まりに備え、首都プノンペンの国立病院の集中治療施設への支援を決定。イタリアやスペインの病院に倣い、ダイビング用のシュノーケルマスクを人工呼吸器の一部や医療スタッフの個人防護具に応用する工夫も行っている。
 
MSF活動責任者のミカエル・ル・ぺは「カンボジアに新型コロナウイルス専門の治療施設はありませんが、3Dプリンターを使ったマスクなどの知識を医療従事者に伝えることが、流行への備えには欠かせません」と語る。

感染症予防と臨床ケアの基本方針を作成

感染症対策当局からの要請に応え、MSFは新型コロナウイルス陽性患者の接触歴を調査したほか、保健省にも協力し、感染症の予防・制御と臨床ケアの基本方針を作成した。また隣国タイとの国境付近にある6つの病院では、ウイルス感染の症状が見られる患者と、そうでない患者を速やかに区別し、優先順序を付けるための研修も実施した。これはタイとの国境が封鎖される前に、8万人あまりの人びとがカンボジアに帰国したことを受けて、病院側から支援を求められたためだ。

MSFの医師らは、わずか3週間で現地スタッフ300人余りに研修を行い、新しい指針を実践する具体的な方法や、患者と医療従事者の双方を守るための、防護具を用いた対策を伝えた。また救急車の運転士、清掃員、検査技師、看護師、医師らを対象にした、最新の科学的知見に関するトレーニングも行われている。

3月に初めての感染例が報告されて以来、MSFはカンボジアでのC型肝炎に関する活動を一時中断した。C型肝炎患者が診療所を訪れ、新型コロナウイルスに感染することを防ぐためだ。
しかしその後、プノンペン市立基幹病院では5月半ばに、またバタンバン州の1次診療所では6月1日にそれぞれ活動を再開。MSFは、C型肝炎患者が引き続き専門施設での処置を進んで受けられるよう、そして医療スタッフの安全のためにも、徹底した新型コロナウイルス感染症予防策を進めていく。

陽性患者から行動履歴の聞き取りを行うMSFスタッフ © MSF陽性患者から行動履歴の聞き取りを行うMSFスタッフ © MSF

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