新年のごあいさつを申し上げます

2022年01月01日

旧年中は国境なき医師団(MSF)の活動にあたたかいご支援を賜り、誠にありがとうございました。

昨年、MSFは1971年12月にフランスで設立されてから50年の節目を迎えました。国境を越えて医療を届け、また、活動地で目撃した人道危機や、非人道的な状況を証言し始めてから50年という月日が流れました。

2021年は、シリアでは「今世紀最悪の人道危機」と称される内戦が10年におよび、ミャンマーでは2月に軍事クーデターが発生、アフガニスタンでは政権崩壊が起こるなど、まさに激動の年でした。

コンゴ民主共和国や中央アフリカ共和国などでも武力紛争がやまず、エチオピアでは北部ティグレ州で衝突が激化し、多くの市民が避難を強いられています。また、マラリアやはしかといった感染症や、深刻な食料不足による栄養失調によって、命を落とす子どもたちも大勢いました。

避難生活を余儀なくされる難民・国内避難民の人びとの数は過去最多となり、気候変動の影響もあって世界各地で自然災害が絶えません。

このように世界の情勢はさまざまに変化し、私たちの医療・人道援助を必要とする問題の規模や数は、残念ながら減るどころか増える一方です。 

アフガニスタン南部ヘルマンド州のブースト病院で現地の医師らとともに活動する看護師の白川優子(中央) © MSF
アフガニスタン南部ヘルマンド州のブースト病院で現地の医師らとともに活動する看護師の白川優子(中央) © MSF

そうした中、2020年から続く新型コロナウイルス感染症への対応では、これまで世界70を超える国と地域の人びとに医療・人道援助を届けることができました。

昨年10月に受付を終了した「新型コロナウイルス感染症危機対応募金」では、日本国内における資金調達目標額2380万ユーロ(約29億円)を、延べ13万人の個人・法人支援者さまからのご支援により達成することができました。皆さまのご厚情にスタッフ一同心より感謝申し上げます。

多額の公的資金を受けて研究開発されている新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が、知的財産権によって独占されることなく、「世界の公共財」としてあらゆる地域の人びとに行き渡るよう、本年も皆さまとともに強く社会に訴えていきたいと思います。(参考記事はこちら) 

また、内戦が続くシリアやイエメン、マラリアをはじめとする感染症や栄養失調で多くの子どもたちが命を落としているナイジェリア、南スーダン、コンゴ民主共和国、そして、暴力や貧困から逃れるため命がけで故郷を離れた人びとが過酷な暮らしを強いられ続けているギリシャ、バングラデシュ、中米の国々など、数多くの地域で人道危機が続いています。

MSFは民間からのご寄付に支えられ、独立・中立・公平な立場で援助を提供するという変わらない理念のもと、支援を必要とする人びとに寄り添い、一人でも多くの命を守れるよう全力で活動を続けてまいります。

本年も皆さまの変わらぬご支援をお願い申し上げます。

国境なき医師団日本
会長 久留宮 隆
事務局長 村田 慎二郎
 

左:久留宮隆 右:村田慎二郎 © MSF
左:久留宮隆 右:村田慎二郎 © MSF

この記事のタグ

関連記事

活動ニュースを選ぶ