新型コロナウイルス:医療者への感染拡大を防ぐ イタリア、緊急援助の現場から

2020年03月26日掲載

押し寄せる患者、不足する物資、そして、医療者の中で広がる感染のリスク——。イタリアのコドーニョ病院で、国境なき医師団(MSF)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に対する支援を始めてから、約2週間が経った。いま現場が注力していることは何か。最前線のスタッフが伝える。 

イタリアで最初の感染者が確認されたコドーニョ病院 © Lisa Veran/MSFイタリアで最初の感染者が確認されたコドーニョ病院 © Lisa Veran/MSF

医療者に広がる感染

イタリア北部のロンバルディア州ローディ県に位置する、コドーニョ病院。イタリア国内で最初に新型コロナウイルスの感染者が確認された場所だ。現在、全100床のうち半数が新型コロナウイルス感染症の患者に充てられている。ここで連日、医師、看護師、衛生専門家らによるMSFチームが、医療者や清掃員などの病院スタッフを支援している。

MSFチームの重要な目的の一つが、病院スタッフをウイルス感染から守ることだ。3月18日時点で、イタリアでは3500人以上の医療従事者の感染が判明している。怒涛のように患者が押し寄せる病院で、感染から身を守るマスクやガウンなどの個人用防護具が不足しており、最前線の医療従事者が深刻な感染リスクにさらされているのだ。

患者に最善の治療を行いながら、医療者自身が感染することのないように——。MSFチームは、病院の衛生管理部門と連携し、あらゆる診療科で多くのスタッフの感染予防を支えている。 

マスクなど医療者用の防護具が不足している © Lisa Veran/MSFマスクなど医療者用の防護具が不足している © Lisa Veran/MSF

患者に医療を届け続けるために

「病院スタッフは患者の対応に追われて、自分たちのことを考える余裕がほとんどありません」海外で10年以上人道援助に携わり、コドーニョ病院でMSFの活動を取り仕切るカルロッタ・ベルット看護師はそう指摘する。

「MSFはいま、病院スタッフがこの危機と闘い、安全に活動できるよう支えています。それが、新型コロナウイルスや他のさまざまな病に苦しむ、全ての患者さんに医療を届け続けるために必要なのです」

コドーニョ病院長のアンドレア・フィリッピン医師はこう話す。「MSFの支援は私たちにとってとても重要です。いま、ウイルスとの闘いの中で一緒に多くのことを学んでいます。最初の症例が見つかった時点で、ウイルスは既にまん延していたのです。いまは、流行拡大に対処し、新たな感染を防ぐことが使命です」 

コドーニョ病院でMSFの活動を取り仕切るカルロッタ・ベルット看護師 © Lisa Veran/MSFコドーニョ病院でMSFの活動を取り仕切るカルロッタ・ベルット看護師 © Lisa Veran/MSF

病院内の動線を分ける

院内の患者と職員の動線を明確に区分けすることも、コドーニョ病院でMSFが行っている活動の一つだ。ウイルスに汚染された可能性のある病棟と、その可能性の低い病棟とを分け、感染の拡大を防ぐことが目的だ。

この緊急援助活動には、MSFの水・衛生設備の専門家も参加している。アルジェロ・ルスコーニは、何よりもチームワークが大切だと話す。「この緊急事態は、私たち皆に関わるものだからです。MSFがこれまでに世界各地で経験した大規模感染からの学びを、イタリア国内の同業者たちに伝え、皆で一丸となって働いています」

コドーニョでは、入院の必要のない患者を訪問診療する医師たちへの支援も開始。さらに、感染者が確認された高齢者介護施設のスタッフへの支援や、新しい患者の来院が絶えない他の病院での支援も行っている。 

病院内の動線を明確にすることは感染拡大を防ぐために重要だ © Lisa Veran/MSF病院内の動線を明確にすることは感染拡大を防ぐために重要だ © Lisa Veran/MSF

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