新型コロナウイルス:ホンジュラスでの感染拡大と、性暴力被害者への援助活動
2020年06月16日ホンジュラスの首都テグシガルパにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者数が急増している。国境なき医師団(MSF)は現地保健機関と協力し、首都の医療崩壊を防ぐべく重症患者のケアを始めたが、「世界一危険な国」の一つとされるこの国では他にも深刻な問題を抱えている。
首都の感染者数が急増 医療崩壊を防ぐために
6月11日現在、陽性が確認された患者数は7360人。このうち23%がテグシガルパのあるフランシスコ・モラサン県で報告されている 。
20床のベッドを備える新型コロナウイルス専門病棟に改修された、ホンジュラス国立自治大学(UNAH)の別館には、地元の病院などから患者が次々と移送されてくる。軽症および無症状者は保健省によるケアを受け、MSF医療チームは酸素吸入を必要とする患者の治療にあたっている。
「医療制度にかかる負荷を軽減し、質の高いケアを提供するため、大学や地域の救急医療当局と連携しています」と話すのは、MSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるホセ・アントニオ・シルバ。医療、看護、衛生、ロジスティックの各スタッフには個人用防護具をそろえ、感染リスクを最小限に抑えながら援助活動を行っているという。
立ち止まることのできない、性暴力被害者への援助活動
同時にMSFは、テグシガルパで以前から取り組んでいる、性暴力などさまざまな暴力の被害者への対応も継続する。暴力が多発し、「世界で最も危険な国」の一つとされるホンジュラスでは、これらの被害に遭いながらも必要なケアを受けられない人びとが大勢いるからだ。
前述のシルバは「新型コロナウイルスに関する医療援助に加え、私たちは暴力の被害者を対象とした診療を続けていかなければなりません」と強調する。
テグシガルパでは、新たにメンタルケアのための電話相談も開始した。MSFは今後も被害者に寄り添い、包括的な医療を提供するための援助活動に尽力していく。