東日本大震災:12月13日、MSFから岩手県宮古市に仮設診療所を寄贈

2011年12月15日

国境なき医師団(MSF)は12月13日、津波で壊滅的な被害を受けた岩手県宮古市田老地区で、6月から建設支援を行っていた仮設田老診療所を同市に寄贈した。

仮設田老診療所贈呈・開所式で、宮古市の山本正徳市長、MSF日本のエリック・ウアネス事務局長、MSF日本会長の黒崎伸子医師らがテープカットを行った。
仮設田老診療所贈呈・開所式で、宮古市の山本正徳市長、MSF日本のエリック・ウアネス事務局長、
MSF日本会長の黒崎伸子医師らがテープカットを行った。

旧田老診療所の外来診療レベルを復帰

宮古市の山本正徳市長から、MSF日本会長の黒崎伸子医師に感謝状が手渡された。 宮古市の山本正徳市長から、
MSF日本会長の黒崎伸子医師に感謝状が手渡された。

寄贈された仮設田老診療所は、複合リゾート施設「グリーンピア三陸みやこ」の2階に設置された。この施設の敷地内には約1000人が3つのエリアの仮設住宅に分かれて暮らすが、診療所は田老全域、およそ4000人の地元住民に医療を提供することになる。

震災直後に同施設の3階に設置された仮の診療所には、X線検査用の部屋に検査技師のための十分な防護がなく、また、エレベーターにストレッチャーを載せて診療所の階に上げることができないなど不便な点もあった。新しい診療所はMSFの建築士が設計を行い、田老診療所のスタッフの声もほぼすべて反映した形で建設された。約350平方メートルに診察室、臨床検査室、在宅医療室などを整備し、X線や内視鏡、超音波、心電図などの検査も行える。

12月19日から診療を開始

地元行政職員、診療所スタッフ、建設・施工関係者、MSFスタッフが参列した贈呈・開所式では、MSF日本のエリック・ウアネス事務局長が、宮古市の山本正徳市長に診療所の鍵を手渡した。山本市長からは震災直後からの人的・物的援助への感謝の言葉と、診療所とその設備を地域医療の推進のため有意に活用するとの決意が述べられ、MSF日本の黒崎伸子医師に感謝状が贈られた。

MSFの派遣スタッフは3月の震災後まもなく田老地区に入り、被災者の診療にあたる田老診療所スタッフとの連携を速やかに開始した。

MSFはまた、複数の避難所や個人宅を対象に医療と心理ケアを提供するとともに、救援物資を配布。田老地区とその周辺地域用に、車椅子で移動する患者用に特別に設計された車両1台を寄贈した。

今回開設した仮設田老診療所は、12月19日から診療を開始する。

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