シリア:医療施設にまた爆撃、患者・医療者が犠牲に

2015年11月24日
シリア

シリアの首都ダマスカスの東に位置するエルビン市で、11月19日午後2時30分、空爆が開始された。その30分後、負傷者7人が緊急搬送されてきていた病院の出入り口のすぐ外にミサイル2発が着弾した。ここは国境なき医師団(MSF)が支援している病院だった。

この攻撃で2人が亡くなった。また、負傷者は計13人に増えた。そのうち2人はトリアージ(※)と応急処置にあたっていた医療従事者で、1人は救命開胸手術が必要、もう1人は多発骨折だった。
さらに、病院の建物や救急車1台も被害を受けた。

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「包囲されている地域に爆弾が降ってくる」

エルビン病院長は「現場は大混乱に陥っていました。最初に搬送されてきた負傷者7人の治療にとりかかろうとした矢先に、もう1発のミサイルが病院正面を直撃しました。ふと気づくと、入口で負傷者に対応していた同僚2人が重傷を負っていました。緊急事態がさらに悪化した瞬間でした」と話す。

11月20日には、アイン・テルマがさらに激しい爆撃にさらされた。ここは包囲されている東グータ地域内だ。MSFが支援する仮設病院では負傷者17人を治療したが、到着時にすでに亡くなっていた人が6人いた。

MSFのオペレーション・ディレクターであるブリス・デ・ル・ヴィンヌは「医療施設とスタッフが再び標的となったことに衝撃を受けています。それも無差別爆撃の犠牲者に救命治療を行っていた最中にです。非常に困難な状況で必死に対応していたスタッフの苦痛と絶望を感じます。医師や看護師は毎日、包囲されている地域に爆弾が降ってくる中で活動しています。装備は限られており、仮設の間に合わせの医療施設です。有能なスタッフ2人が包囲地域への爆撃で重傷を負ったため、現地で活動している医療従事者は数日でさらに減ってしまいました」と話す。

MSFはエルビン病院に対して通常の支援プログラムの一環として麻酔キット、手術室用医薬品キット、下痢治療キットを寄贈していた。今後も、ミサイル攻撃の被害者などの負傷者治療に必要な物品の補充を続けて行く。

MSFはシリア北部で6軒の医療施設を運営している。また、包囲地域を中心に全国で100軒の診療所と野外病院を直接支援している。支援先の多くは仮設でMSFスタッフは駐在しておらず、現地の医療従事者によって活動が行われている。MSFは物資の補給や遠隔地からの研修などの形でサポートしている。このネットワークは4年前から徐々に構築されて現在に至っている。

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