ウクライナ:MSF、東部の紛争地で医療物資を支援

2014年06月02日

ウクライナ東部のドネツク州で、5月最終週に激しい衝突が起きたことを受け、国境なき医師団(MSF)は、ガーゼやばんそうこう、包帯、注射器、抗生物質、担架などの医療物資を、同州の公立病院3ヵ所とルハンスク州の公立病院1ヵ所に提供した。

MSFのウクライナでの活動責任者であるステファヌ・プレヴォは「ドネツクでは多くの病院に負傷者が押し寄せ、物資が不足しています。MSFが提供した緊急物資で、医療の必要な人への対応を継続できるでしょう」と話す。

緊急対応チームの拡大も予定

国旗のように青い空と黄色の小麦が広がるウクライナだが…… 国旗のように青い空と黄色の小麦が
広がるウクライナだが……

MSFはさらに、緊急対応計画の一環として、緊急医療キットをドネツク・ルハンスク両州に輸送。暴力激化の際に速やかな寄贈が行えるよう備えている。

プレヴォは「MSFの担当チームはウクライナ東部の医療ニーズの推移を注視し、援助活動を拡大する態勢を整えています。追加支援の必要に備え、現地主要病院の医療スタッフとも連絡をとり続けています」としている。

MSFは数日のうちに緊急対応チームを拡充し、戦闘が起きている地域の保健医療施設のニーズを調査する予定。また、心理療法士を中心とする専門チームも、キエフ・オデッサ両州で、過去3か月に避難した人や暴力被害に遭った人の心理ケア・ニーズ調査を行う。

MSFが2014年3月から展開中の心理ケア・プログラムでは、キエフで年初から繰り返されてきた暴力的事態の被害者にカウンセリングを提供している。また、現地の心理ケア従事者にも、技術的・心理的に支援している。3月~5月の期間に、MSFのもとで450人の心理ケア専門家が、心理的応急処置(PFA)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、精神的苦痛、不安、ストレスへの対処についての研修を受けた。

MSFのドネツク州における活動は2011年に始まり、地域の刑務所内の薬剤耐性結核(DR-TB)患者の治療プログラムを展開している。

MSFは中立、独立、公平の原則のもと、世界70ヵ国以上で活動する国際医療・人道援助団体。いかなる紛争においても特定の陣営に属さず、あらゆる政治・軍事その他の組織の意図と一線を画し、性別・民族・宗教・政治的信条に関わらない、ニーズだけに基づいた医療活動を行っている。

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