ギリシャ・モリア難民キャンプ:大規模な火災が発生し、難民・移民に甚大な被害が

2020年09月11日掲載

炎に包まれるキャンプを見つめるMSFスタッフ © MSF/MÉDECINS SANS FRONTIÈRES (MSF)
炎に包まれるキャンプを見つめるMSFスタッフ © MSF/MÉDECINS SANS FRONTIÈRES (MSF)

ギリシャ・レスボス島のモリア難民キャンプで9月8日夜に発生した大規模な火災により、子どもを含む約1万2000人の難民・移民が避難を余儀なくされた。これまでのところ火災による死者は出ていないとみられるが、キャンプはほぼ全焼し、人びとは路上での生活を強いられている。

国境なき医師団(MSF)は、ギリシャと欧州連合(EU)に対し、人びとを直ちに島外の安全な場所に避難させるよう要請している。

キャンプ全体に炎が……

「モリア全体に火が広がり、一晩中燃え盛っているのが見えました。キャンプ全体が炎に包まれ、人びとは四方八方に逃げていました」とレスボス島でMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるマルコ・サンドローネは話す。

「子どもたちはおびえ、大人たちも精神的に打ちのめされた状態に陥っています。犠牲者がいなかったことがせめてもの幸いです。いまは被害を受けた人びとの緊急ニーズへの対応を進めています」

難民や庇護希望者が利用できる医療サービスは、いまMSFの小児科診療所も含めてすべて稼働が止まっている。

火災で崩れ落ちたキャンプの建物 © MSF/MÉDECINS SANS FRONTIÈRES (MSF)火災で崩れ落ちたキャンプの建物 © MSF/MÉDECINS SANS FRONTIÈRES (MSF)

キャンプに封じ込まれた人びと

人びとは劣悪な環境に5年近くも閉じ込められ、緊張と絶望の中を生きてきた。過去5カ月間、キャンプ内で課された移動制限を受けて、事態はさらに悪化している。移動制限による強制隔離は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を受けて、公衆衛生措置として正当化されたものだ。キャンプの住民の間でも新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されたことを受けて、規制はさらに厳しくなっている。

MSFは、ギリシャの保健・移民当局に対し、モリア難民キャンプの状況に合わせて適切な新型コロナウイルス感染症対応計画を策定するよう要請してきた。人びとに協力を呼びかけ、病人や感染者に敬意を払って対応すべきという内容だ。

「ギリシャ当局は、私たちが呼びかけてきた対策はとっていません。EUとEU加盟国は責任を放棄し、事態の打開に向けてほとんど何もしてきませんでした」とMSFで移民・難民の人道問題顧問を務めるオレリー・ポンテューは話す。

「欧州とギリシャが何年も続けてきた、人びとを苦しめ、暴力を容認する移民政策が、今回の火災を引き起こしたと言えます。非人間的な封じ込め対策が、灰と化したモリアで再び繰り返されないことを願うばかりです」

MSFはギリシャ当局に対し、緊急対応計画を直ちに採用し、キャンプの全住民を本土の安全な場所か他の欧州諸国に避難させるよう呼びかけている。MSFは、この緊急対応への協力を表明している。

煙を吸い込み、高熱を出した赤ちゃんを診察する医師 © MSF煙を吸い込み、高熱を出した赤ちゃんを診察する医師 © MSF

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