新型コロナウイルス:すでに2000人の感染者を出しているギニアは病院も過密状態に
2020年05月26日西アフリカに位置するギニアは、アフリカ大陸における新型コロナウイルスの一大感染国だ。すでに2000人近くの感染者を出している。国境なき医師団(MSF)は、同国の新型コロナウイルス対応について、人員・物資・資金などの諸側面から支援にあたっている。特に、ギニアの首都コナクリ市内の新型コロナウイルス感染者に向けて医療を提供していく方針だ。
ギニアでは、今年3月に最初の新型コロナウイルス感染者が報告された。それ以来、感染者数は急増している。同国では、エボラ出血熱が猛威を振るってから5年が経過したばかりだ。普段から医療アクセスに乏しく、医療機関、医療スタッフ、医療機器、医薬品が不足してきた。そこに新型コロナウイルスという新たな難題が出てきたのである。
「このセンターのことはよく知っています。2015年にエボラ流行対策の一環としてMSFが設置し、その後、国の医療当局に移譲したものですから。現地の状況を踏まえ、私たちは、ギニア国内の対応として、コナクリのノンゴ感染症治療センター支援を直ぐに決めました」とギニアでMSFの活動責任者を務めるアルノー・バディニエは話す。
病院はすでに過密状態に
MSFは、ここ数週間で、ノンゴ感染症治療センターの大部分を改築した。新たな隔離ケア施設では、容体が安定した患者75人を受け入れることが可能である。MSFは、入院患者の自宅消毒や心理社会面の支援、接触者の追跡調査や経過観察にあたっている。
前出のバディニエは語る。「新型コロナウイルス危機が始まってから数週間、感染者の指定医療機関はドンカ病院だけでした。ここが短期間で過密状態に陥ったため、ノンゴ治療センターの修復と拡大が急務となりました。初日だけで約20人が入院し、現在は75人の患者が入院しています」
MSFは、ノンゴ感染症治療センターにおいて、軽症だが国の方針によって入院が必要な患者たちをケアしている。首都における流行規模と空床率の推移に応じて、ベッド数を増やしていくか、重症患者も同センターで担うかといった点を検討していく。
医療体制の維持に向けて
新型コロナウイルス感染症で現在入院している患者の多くは軽症であることから、医療施設以外の場所で経過観察することが望ましい。そうすることで、病院の負担が軽減され、本来入院を要する患者たちに十分対応できるようになる。
バディニエは語る。「ギニアには医療を必要としている人びとが大勢いますが、医療体制は以前から脆弱でした。新型コロナウイルスの流行によって、これ以上事態が悪化することは避けなければなりません。ギニアでは、2018年に約160万人がマラリアに感染しました。2019年にはコナクリ全域ではしかが流行しています。新型コロナウイルスの流行に直面してもなお、国内の医療サービスを維持することが不可欠です」
MSFにとって、ギニアにおける医療活動の維持は重要である。コナクリ市とカンカン市にある2カ所の医療機関において、はしか小児患者の治療を無償で続けている。また、クルーサ県においては、マラリアや栄養失調のプロジェクトを実施しており、コナクリ市では、HIV感染者への対応も継続している。このほか、新型コロナウイルス感染予防策を医療機関や地域社会に伝える活動も実施している。