「命がけで食料を探している」 エチオピア、ティグレ州の人道危機から逃れる人びとへの緊急援助

2021年03月23日掲載

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昨年11月から武力衝突が続いている、エチオピア北部のティグレ州。政府軍とティグレ人民解放戦線の戦闘により、多くの市民が避難を強いられている。

エチオピア国内の別の地域へ逃れるのみならず、6万人以上が国境を越えて隣国スーダンで避難生活を送る。

戦闘が起こっているティグレ州と、逃げ延びた先のスーダン。その両方の地で緊急援助を届けている国境なき医師団(MSF)の活動を伝える。 

医療が失われた町で エチオピア・ティグレ州シレ

ティグレ州の町、シレ。戦闘から逃れた人びとが校舎や大学のキャンパスで寝泊りし、衛生状態は劣悪だ。食料配給もあるものの、十分とはいえない。大半の人がパンしか食べていないという。

MSFは昨年12月にこの地に入り、緊急援助を開始。母子保健をはじめとした医療援助を行うほか、生活物資や衛生用品の配布を行っている。 

高まる栄養失調の懸念 スーダン・ハムダイェト

エチオピアから逃れた人びとの多くがスーダンで最初に入るのが、国境の町ハムダイェトだ。本来は3日以内にここからからウム・ラクバとアル・タニデバのキャンプへ移されることになっている。しかし、キャンプの整備が遅れているため、ハムダイェトとその周辺に1万人強の難民が残り、仮設住居も水も食料も足りない状況で過ごしている。 

ティグレ州からスーダンに逃れてきたトゥシャガさん親子 © MSFティグレ州からスーダンに逃れてきたトゥシャガさん親子 © MSF

栄養失調の1歳の子どもを抱える母親のトゥシャガさん(27歳)も、ハムダイェトで足止めされている難民の一人だ。

「いまは安全を感じられるようになりました。でもここでは、子どもにも自分にも食べるものが足りません。いつ食料をもらえるのかと聞いたら、もうないからどこかへ行って、と言われました」と話す。

命がけで国境の向こうのエチオピア・ティグレ州に戻り、食料を探したり、スーダンで売れる薪を持ち帰ったりする人もいる。

ある難民の男性はこう語った。「食料を探して持ち帰るために、川を渡ってエチオピアに入り、ティグレ州のフメラに行きました。危険は承知しています。それでも、飢えて死ぬより、食料を調達しようとして死ぬ方がましです」

MSFは昨年11月以来、ハムダイェトの国境通過地点で、医療ケアが必要な人を探すスクリーニング検査を実施している。2月に行った栄養失調に関するスクリーニング検査では、妊婦と授乳期の母親の14%が栄養失調状態にあるという数値が明らかになった。MSFはハムダイェトで、難民と元からの住民の両方を対象に基礎医療を提供している。

MSF救急医療顧問のクリスタル・バン・ ルーウェンは、こう話す。「72時間以内にキャンプに移れるようにするという見通しが立っていないので、居場所に関係なく適切なケアを提供する必要があります。スーダンへ逃れてきた人びとに尊厳と敬意をもって対応し、基本的な人道ニーズがすぐに満たされるよう取り組まなければなりません」 

ハムダイェトの町を眺めるMSFスタッフ 人びとはキャンプへ送られるまでの日々をここで過ごす © MSFハムダイェトの町を眺めるMSFスタッフ 人びとはキャンプへ送られるまでの日々をここで過ごす © MSF

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