コンゴ民主共和国:国境なき医師団の職員が銃撃を受け死亡──民間人と援助従事者の保護を求める

2025年04月25日

コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の北キブ州マシシで4月18日、国境なき医師団(MSF)の職員が、軍服を着た男に自宅で銃撃され死亡した。マシシ総合病院の看護師で働く医療従事者だった。彼を含め、MSFでは過去2カ月の間にマシシの町で2人、今年に入ってから北キブ州で3人のスタッフが殺害された。

悪化し続ける治安

4月18日の夕方、軍服を着て銃を持った2人の男がマシシの町で民間人を襲撃し、強盗を行った。男たちはその後、MSFの看護師の自宅に押し入って強盗に及んだ。その際、男らは看護師の胸に2発の銃弾を発砲し、看護師を殺害した。

MSFのコンゴ代表であるエマニュエル・ランパートはこう述べる。
 
「仲間の命を奪ったこの恐ろしい行為を、私たちは強く非難します。この事件は、今年初めから北キブ州と南キブ州で悪化の一途をたどっている治安の状況を表しています。私たちは毎週のように、民間人や援助従事者、医療施設を標的とした暴力を目撃するだけでなく、その被害を受けています。このような事態は、直ちに止めなければなりません」

2025年初頭以来、MSFは日々暴力事件を目撃し、その多くでは被害にも遭っている。4カ月の間に3人のMSFスタッフが、勤務中、あるいは民間人に対する暴力により、北キブで射殺された。

2月20日には、マシシ中心部のMSF宿舎で勤務中だった通信担当のスタッフが、「VDP/ワザレンド」と「3月23日運動(M23)/コンゴ川同盟(AFC)」の間の銃撃戦に巻き込まれ、死亡した。その数日後には別のMSFスタッフが、ゴマの自宅にて深夜に銃撃され死亡した。ここ数カ月の間に銃撃で負傷したスタッフも複数おり、そのうちの1人は現在もゴマの病院で治療を受けている。
 

民間人と援助従事者の安全を求める

北キブ州でオペレーション・マネジャーを務めるマチルド・ゲオはこう語る。
 
「武力衝突が収まった地域でも情勢は不安定です。私たちの病院や宿舎への直接的な武力攻撃だけでなく、特に夜間、民間人を狙った暴力が後を絶ちません。殺人、性暴力、銃撃、恐喝、住宅侵入、脅迫……。さまざまな犯罪が行われているのです」

一連の暴力事件の内15件は、MSFのスタッフや救急車、事務所、医療施設に直接影響を与えるものだ。MSFは当局に対し、武器を携帯する者の責任として、民間人と援助従事者の安全を守るよう訴える。犯罪をなくし、MSFが日々目撃している非道な行為を終わらせるために必要だ。

ランパートはこう話す。
 
「『VDP/ワザレンド』と『3月23日運動(M23)/コンゴ川同盟(AFC)』、そして国軍のすべての当事者に、紛争地域における民間人とその財産の保護は法的義務であることを改めて訴えます。すべての関係当局は、この責任を果たすため緊急に対応しなければなりません」

コンゴでは、保健省職員のほか3000人近くの現地スタッフと国際スタッフがMSFで活動し、弱い立場に置かれた人たちへの援助を行っている。
 

この記事のタグ

関連記事

活動ニュースを選ぶ