「この薬草を飲めば中絶できる」──そして15歳の少女は命を落とした

2021年10月01日掲載

いまも世界では、危険な中絶で命を落とす女性が後を絶たない。

背景の一つには、中絶に対する根強い偏見がある。性暴力による妊娠でさえ、危険な方法を取るしかないという地域も少なくない。これ以上の悲劇を避けるため、国境なき医師団(MSF)は、中絶に対する偏見をなくし、安全な中絶を必要としている女性たちを支える取り組みを各地で行っている。

コンゴ民主共和国コロンビアで、女性たちの中絶にまつわるストーリーを聞いた。 

伝統とタブーが絡み合う社会で <コンゴ民主共和国から>

ある家庭に二人の女の子がいました。ともに15歳。そして共通点がもう一つ──。彼女たちは妊娠していたのです。しかし、学校で勉強を続けたい。どうしたら中絶することができるのか……。

古くから伝わる薬草で中絶することができると友だちから聞き、その薬草を探しに二人で森へ入りました。 

薬草を見つけて、これで中絶ができると思い、煎じて飲みました。すると、二人の体に異変が起きたのです。お腹が膨んで、とても痛い……。二人とも泣き叫びました。

両親が二人を病院に連れて行きましたが、既に手遅れで、数分違いで二人とも亡くなってしまいました。中絶しようと使った薬草による中毒死。実は、この辺りでは珍しいことではありません。 


ここでは伝統とタブーが絡み合い、望まない妊娠などの問題は話すのも難しいのです。若い女の子たちは、妊娠したと親に知られると、殴られたり、家族から追い出されたりするのではないかと恐れます。

いつの日か何の心配もなく胸のつかえを吐き出せる日が来てほしい。少女たちが命を落としているのですから……。 

また妊娠したら死んでしまうかもしれない <コロンビアから>

ベネズエラでは、朝ごはんを食べたらお昼はまず食べられませんでした。お昼を食べたら、晩ごはんはありません。そのような生活を送り、私たちは、痩せこけてコロンビアに来たのです。

娘と一緒に暮らしていますが、生活はとても苦しいです。仕事がなく、頼れるものはありません。
 

自分が妊娠していることなど気づいていませんでした。私がMSFの診療所に来たのは、歯が痛いのと熱を出していたからです。避妊具を配っているのを見て、私もお願いしました。

まず妊娠検査を受けましょうと言われました。すると、妊娠していることが分かったのです。泣きながら家に帰ってきました。 そんな私に、MSFは心理療法士を紹介してくれました。

故郷ベネズエラの主治医は、私は既に4回も帝王切開を行っているので、また妊娠したら危ないと話していました。また妊娠すると、死につながる恐れがあるのです。 

次の日、中絶薬をもらうため、MSFが紹介してくれた病院に向かいました。家族全員が中絶すると決めた私を応援してくれたんです。私には既に子どもがいます。子どもたちが大きくなる姿をこの目で見たいのです。

いまは、5年間妊娠できないようにする避妊用インプラント手術を受けたところです。MSFではこの手術を無償で受けられました。とてもありがたく思っています。
 

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