【動画】ロヒンギャ難民キャンプ、「丘の上の病院」が守る命──治療できる病気に適切なケアを

2021年06月15日掲載

2018年4月に開院した「丘の上の病院」  © Pau Miranda/MSF2018年4月に開院した「丘の上の病院」  © Pau Miranda/MSF

ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民が暮らす、バングラデシュ・コックスバザール県。2017年8月に大勢の難民がこの地で生活を始めた翌年、国境なき医師団(MSF)はクトゥパロン=バルカリ難民キャンプの高台に病院を建設した。その場所から「丘の上の病院」と呼ばれ、多くの人びとに利用されている。開院から3年。この病院が果たしている役割とは──。 

糖尿病も高血圧も、治療さえすれば

2020年、「丘の上の病院」では外来と救急で8万件近い診療を行った。現在、2800人を超える患者に治療を提供している。この病院が特徴的なのは、糖尿病などの非感染性疾患も専門的に診ているという点だ。糖尿病は治療で対処できる病気だが、この地域では、適切なケアを受けられずにいる人たちが少なくない。

「糖尿病も、高血圧も、治療できるものです。これらで命が奪われる必要はないはずです」。そう話すのは、病院で医療活動マネジャーを務めるカロリナ・ナルロクだ。いま、この病院では80人を超える非感染性疾患の患者に治療を提供している。「この病院がなかったら、治療できる病気で命を落としていた人もいたかもしれません」 

「丘の上の病院」の役割を語る、医療活動マネジャーのカロリナ・ナルロク

重症化するまで治療を受けていない人も

 医師のアデオラ・ファドゥミヨは、MSFが診る非感染性疾患の患者は、毎月約5%ずつ増えていると話す。「C型肝炎を患っている人も多くいて、ミャンマーで治療を受けられないままバングラデシュに来た人も少なくありません。病気が相当進行し、初めて受診した時には慢性肝疾患や肝硬変など危険な状態に陥っていることもあります」

なぜ治療を受けられなかったのか。患者の一人であるロヒンギャ難民のアジズル・ラーマンさんは、「ミャンマーにいた時も、この国に来た時も、薬を買うお金はありませんでした」と話す。

この病院は、キャンプの難民だけでなく、キャンプ周辺のバングラデシュ人の住民にも無償で医療を提供している。非感染性疾患に関する診療を受けている患者の約4割は、キャンプ周辺の住民だ。コックスバザール県は、ダッカやチッタゴンなどの大都市から遠く離れているため、専門治療を受けられる医療施設は貴重だ。

糖尿病の治療を受けているバングラデシュ人のスジャウディン・チャウドリーさんはこう話す。「ここで治療を受けた人から、いい病院だと聞きました。それで私もここで治療を受けるようになったのです」

ひっ迫した医療状況の中で生きる人びとに、今日も「丘の上の病院」が必要なケアを提供している。

糖尿病などの非感染性疾患も専門的に診る病院はこの地域では数少ない © Pau Miranda/MSF糖尿病などの非感染性疾患も専門的に診る病院はこの地域では数少ない © Pau Miranda/MSF

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