スマホを使って人を助ける 本当に必要な援助を届けるために

2018年10月04日掲載

約100万人が生活条件の整わない仮設住居で暮らしている、バングラデシュ南東部のロヒンギャ難民キャンプ。2017年8月以降、ミャンマーでの迫害を逃れたロヒンギャの避難は、近年の歴史で最大規模の国外脱出となった。キャンプにはさまざまな国際援助団体が到着し、診療所が建ち、物資配給も行われた。だが実際のところ、救援にあたっている団体は難民についてどれだけ理解しているのか?国境なき医師団(MSF)は、ロヒンギャ難民のニーズを正しく理解するため、ある調査を行った。 

アプリで素早く調査結果を集計

ロヒンギャ難民キャンプでスマホを使った疫学調査ロヒンギャ難民キャンプでスマホを使った疫学調査

「2018年7月、バングラデシュ・コックスバザール県にある2つの難民キャンプで疫学調査を行いました。この調査の目標は、キャンプの出生率と死亡率、子どもの栄養失調の状況、難民の間でよくみられる病気を明らかにすることでした」。バングラデシュでMSFの緊急対応コーディネーターを務めるマリア・シモンは話す。「MSFの医療施設はちゃんと使われているか、もし使われていないのなら、その理由を知りたかったからです」

調査にはスマートフォンが利用された。MSFチームはあらかじめアプリをインストールしたスマートフォンを持ってキャンプの難民を家庭訪問し、そこで得たデータをいち早く集計。その結果、病院が遠いこと、雨期には特に道路の状態が悪くなるため、わざわざ病院まで来ないことが明らかになった。これを受け、MSFはすぐに、キャンプで新しく移動診療を始める決断をした。

必要な人びとに必要な医療を届けるため、MSFは最も効率よく仕事できる新しいアイデアや方法を見つけ出そうと絶えずアンテナを張っている。バングラデシュの場合、スマートフォン・アプリという誰にでも使いやすい技術を利用してより着実なデータ収集が可能になった。ここ数年、MSFにとって「テクノロジー」は非常に重要になってきている。遠隔医療など、ITを利用した「e-ヘルス」プロジェクトでは、地理的なハードルを飛び越えて質の高い診療をより多くの場所で受けられるようにする。たどり着くのが困難な地域の調査でも、衛星とドローンの映像が役立っている。

より大きな成果を残すために

しかし、テクノロジーの利用には「予算」という制約もつきまとう。手術用アプリ「Apps4Ops」のプロジェクト・リーダーを務めるMSFのコナー・プレンダーヴィルは説明する。「テクノロジー関連のプロジェクトは、実行の第一段階に多額の資金や人材が必要になり、障壁もあります。後になってみないと、役に立つのかもわかりません。テクノロジーを利用することで患者との距離が離れてしまう恐れもあります。また、倫理的な問題もあります。テクノロジーの利用は、あくまでもMSFの原則に沿った形で推進していきます」

MSFがテクノロジーを使う最終的な目標は、「より大きな医療・人道援助の足跡を残すこと」だ。プレンダーヴィルは続ける。「MSFは今、人道危機や自然災害、紛争の最中にある場所で資金や人材を投じています。それと同じ形で、テクノロジーが現場で大きな成果を残せるようになるでしょう」

 

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