「苦しみの中で生きている」 ブルキナファソ “封鎖された町”から届いた声
2023年05月16日
食べるものは葉しかなく
紛争に巻き込まれたために生活環境は急速に悪化し、人びとは人道援助によって持ちこたえている状況だ。塩さえ手に入らず資源も乏しいため、長い間、住民は植物の葉を食べるほかなかった。
「子どもたちに食べさせるものは何も残っていません」。30歳の国内避難民で5人の母親であるサフィさんはそう話す。サフィさんは、ジボから100キロメートル離れたヤランガ村の国内避難民キャンプを家族全員で後にしたが、道中で夫は武装集団に殺害された。生きるために細々とした家事代行の仕事を探すサフィさんにとって、国連世界食糧計画(WFP)から配給が届く日が、特別な日となる。
「最近は少し状況がよくなってきました」と語るサフィさん。3月21日には、4カ月ぶりに食料と生活必需品の輸送隊が武装した護衛の下、ようやく到着した。食料危機と安全保障危機という二重の危機は予断を許さないとはいえ、事態は以前より明らかに改善している。

深刻な栄養危機に対応
ジボの食料・栄養危機は危ぶまれているにもかかわらず、アクセスが困難なため、その規模さえ把握できていない。住民の栄養状態に関する情報が足りず、援助機関や団体は対応の調整に苦慮している。2022年10月に出た最初の警告以来、いくつかの団体が動いたものの、援助は大幅に不足している。ここ数週間で行われた栄養治療は、栄養失調の子どもたちのニーズには対応しているものの、今後数カ月間の食料事情は不透明なため、憂慮すべき状況に変わりはない。
4月8日と9日、国境なき医師団(MSF)は、6カ月から5歳までの1万2456人の子どもたちに、1カ月分の食料に相当する57トンのビスケット、「BP-5」を配布した。BP-5は、穀類をベースに小麦粉、脂質、植物油、砂糖、大豆タンパク、ビタミン、ミネラルで作られた、子どもの栄養失調を防ぐ栄養補助食品だ。この配布により、一次的ではあるものの、人びとの緊急ニーズに対応することができた。

医療と清潔な水を人びとに
人びとが医療を受ける機会に関しても、封鎖の影響は大きい。ほとんどの医療スタッフは去ってしまい、医薬品は手に入りづらいため、いくつかの医療施設は閉鎖された。残る施設は最小限の態勢で運営されており、すでに極めて弱い立場にある人びとに対応する能力は限られている。
2018年以降、MSFは保健省と共同で、外科手術ユニットを備えたジボ医療センターと2カ所の出張簡易診療所、3カ所の地域保健サイトを支援。外科手術ユニットのある医療センターでは、患者の治療は無償な上、患者とその家族には、1日3食の食事を提供している。手術室と救急センターでは、MSFが設置したソーラーパネルにより、施設独自の電力供給が確保され、医療が継続できるようになっている。
MSFはまた、給水所の修復や掘削井戸の建設にも取り組んでいる。これにより、住民は飲み水を利用しやすくなり、女性たちは長距離を歩いて水を汲みに行く必要がなくなったため、危険にさらされることが少なくなった。

厳しい状況の中、連帯も生まれ
