「丸1日かけて水汲みへ」紛争と気候変動で水不足が深刻化したブルキナファソ

2021年06月16日掲載

ブルキナファソ・サヘル地方での紛争で、夫を目の前で殺害された女性 © Noelie Sawadogo/MSFブルキナファソ・サヘル地方での紛争で、夫を目の前で殺害された女性 © Noelie Sawadogo/MSF

ブルキナファソ北部のサヘル地方は、国内で最も熱く乾燥した砂漠地帯。季節ごとの気候変動が激しく、水不足が深刻化している。さらに2018年以降、数カ国にまたがるアフリカ・サヘル地域での武力紛争では中心地となった。

この紛争で多くの人が避難民となり、人道援助を必要とする事態に発展した。気候変動が重なって、極めて弱い立場にある人びとが、清潔な水もなく、病気のリスクにさらされている。

生活用水すべてを離れた給水所でまかなう

アイセ・ウードラオゴさんが、避難テントから数キロメートル離れた給水所に到着したのは朝の4時。そこから6時間かけて、20リットルの貯水容器で10個分の水を汲んだ。「水不足なので、これ以上は汲めません。他の人たちに水が行き渡らなくなってしまいますから」とアイセさんは話す。

ゴロム=ゴロム地区にあるこの給水所では、毎日アイサさんのような女性が数十人、清潔な水を求めて順番を待つ。ここで汲んだ水を、避難民は料理や家事など生活のすべてに用いる。

長時間待たなければならず、場所も住まいから遠いため、水汲みはひと苦労だ。「売られている水もありますが、貯水容器1つで100セーファーフラン(約20円)もするんです。選ぶことはできず、誰もが本当につらい思いをしています」とアイセさん。避難民は定職に就けず、仕事があったとしても、日雇い労働者としてわずかなお金を稼げるに過ぎない。

ゴロム=ゴロム地区の給水所で水を汲む女性たち © Noelie Sawadogo/MSFゴロム=ゴロム地区の給水所で水を汲む女性たち © Noelie Sawadogo/MSF

悪化する人道危機

2018年以降、アフリカ・サハラ砂漠の南側で国々をまたいで広がるサヘル地域では、武装勢力とブルキナ政府軍の間や、武装勢力同士の継続的な抗争が絶えない。その結果、深刻な人道危機が生じ、大規模な人口移動のほか、隣国のニジェールやマリからの難民も来ている。

現在サヘル地方では、同地方の人口の約3分の1にあたる35万人以上が避難生活を送り、62万8000人が上下水道と衛生面での支援を必要としている。紛争地と避難地域の両方で、基本的なサービスの利用が大きな課題となっていて、健康上のリスクも甚大だ。紛争以前から、この地方では季節ごとの気候変動が激しく、水不足に拍車がかかっていた。国連によると、ゴロム=ゴロム地区では約9万2000人が援助を必要としている。

ゴロム=ゴロム地区にある避難民のための居住地でテントの横に立つ女性たち © Noelie Sawadogo/MSFゴロム=ゴロム地区にある避難民のための居住地でテントの横に立つ女性たち © Noelie Sawadogo/MSF

“清潔な水がない=病気の始まり”

6月から始まる雨期には、水の確保こそ楽になるものの、料理や飲み水として使うには危険を伴う。清潔な水の不足と、大勢で暮らす過密な生活環境は、寄生虫感染症、皮膚病、下痢など、水を介して感染する病気の原因になるからだ。このため、安全な水と機能的な衛生設備の提供は、国境なき医師団(MSF)のブルキナファソでの活動の大きな柱となる。

MSFの医療コーディネーターであるデビッド・ムンガンガは、「支援先の診療所には、水質が原因となる病気で毎月、何百人もの患者が訪れます」と話す。2021年1月から3月の間に、MSFの診療所では、下痢になった5歳未満の子どもを1200人以上診察した。

先日MSFは、2万人以上の避難民が暮らすゴロム=ゴロム地区の居住地に、新たな掘削井戸を整備。1時間あたり1100リットルの水を供給できる井戸だ。またチームは他の7つの掘削井戸の修理も行った。

この地区でMSFは、ゴロム=ゴロム地区病院のほか、2カ所の診療所を支援。他には新たに避難してきた人びとへ、石けん、貯水容器、浄水剤(生活用水の消毒用タブレット)などの衛生用品キットを配布している。ヘルスプロモーターは、避難民の居住地を定期的に訪問し、健康や衛生関連の問題について教えている。

ブルキナファソでMSFの現地活動責任者を務めるイッソウフ・アリー・デンベレは「サヘル地方やブルキナファソの多くの地方では、水や基本的なサービスの利用が大きな課題となっています。いま人道援助団体に求められていることは、活動を拡充して、紛争で打撃を受けた人びとの医療・人道ニーズの高まりに対応していくことなのです」と話している。

ゴロム=ゴロム地区で女性の健康問題について話すMSFのヘルスプロモーター © Noelie Sawadogo/MSFゴロム=ゴロム地区で女性の健康問題について話すMSFのヘルスプロモーター © Noelie Sawadogo/MSF

ブルキナファソでは13ある地方のうち、6地方で水不足が続いている(サヘル、サントル=ノール、ノール、東部、ブクル・デュ・ムーン、サントル=エスト)。MSFはこのうち4つの地方で、必要としている人びとに水を届けるために活動。2020年にMSFが供給した水の量は約1億3393万4000リットルで、オリンピック用のスイミングプール45杯分にあたる。MSFは現在、ブルキナファソの地元住民や避難民に医療・人道援助を実施。活動内容は無償の一般と専門医療、集団予防接種、救援物資の配布など。2020年には47万8000件余りの診療を行った。

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