「水浸しのテントで、立ったまま朝が来るのを待った」 ブルキナファソ、雨期の到来が避難民にもたらすリスク

2020年08月04日掲載

雨期には衛生状態が悪化し、特に子どもの健康リスクが高まる © MSF雨期には衛生状態が悪化し、特に子どもの健康リスクが高まる © MSF

紛争から逃れ避難生活を送る人びとにとって、雨は暮らしにさらなる厳しさをもたらす。92万人以上が避難民となっているアフリカ西部の内陸国ブルキナファソは今、雨期のただ中にある。そこに暮らす住民と、国境なき医師団(MSF)スタッフの声を伝える。 

家に帰れないのならせめて……

人びとが身を寄せるテントや仮設住居は、雨期の強風や大雨に耐えられないものが多い。避難民キャンプに暮らすナボンスウェンデさんは、豪雨が始まった5月のことをこう話す。「テントが水浸しになって寝ることもできず、私たちは起きて立ったまま朝が来るのを待つほかありませんでした」

ナボンスウェンデさんは農業で家族を養っていたが、この一年、武力衝突の激化により自宅を離れてキャンプで生活を送っている。ブルキナファソの中北部地方では、避難した人びとの数は半年でほぼ倍増し、38万6000人に達した。

「いろいろと助けてもらっていますが、一番の願いはもとの家に帰ることです。私は農家ですから、雨が降ったときには畑にいなければなりません。それが家族を養うために必要なのです。もし家に帰れないのなら、せめてテントを直して水が入らないようにしたいのですが」と話す。 

支援物資を運ぶ住民たち さらに雨が降ると渡ることができなくなる © Noelie Sawadogo/MSF支援物資を運ぶ住民たち さらに雨が降ると渡ることができなくなる © Noelie Sawadogo/MSF

脅かされる子どもの命 無料の診療が安心に

豪雨により溜まった雨水は、コレラや下痢のような水因性疾患のリスクを高める。また雨期には、マラリアの発生率が高まる。マラリアを媒介する蚊が、よどんだ水の中で繁殖するからだ。2019年、中北部地方の患者の症状で最も多かったのはマラリアだった。今年に入ってからも同じ傾向は続き、1月以来MSFが治療したマラリア患者は7231人に上っている。

中北部地方の避難民の60%余りは子どもで、子どもはマラリアなどの病気にかかりやすい。しかし、避難に伴い生計手段を失った親が多く、医療費を工面できずに子どもに治療を受けさせられないというケースが少なくない。

そのような中、MSFは無償で医療を提供している。これまでに、診療所を設置するとともに、移動診療所を運営して周辺地域の人びとも医療を受けられるようにしてきた。ナボンスウェンデさんは、「ここで無料で診てもらうことができて本当に安心しています。何よりも大事なのは健康です」と話す。 

キャンプの周辺で無料の移動診療を展開 © MSFキャンプの周辺で無料の移動診療を展開 © MSF

家を逃れ避難して来る人たちは今も増え続けている。「誰もが安心して健やかに生きられるようにするためには、生活環境の改善が不可欠です。仮設住居のみならず、清潔なトイレも大切です」とブルキナファソでMSF活動責任者を務めるハッサン・マイヤキは話す。

国連によると、ブルキナファソでは約2000万人の人口の1割以上にあたる、少なくとも220万人が支援を必要としている。これから農作物の生産の端境期に入ると、食糧不足による栄養失調も懸念される。MSFは、健康リスクにさらされた人びとの命を守るために、国際社会からより多くの支援が必要だと訴えている。 

雨期には水質が悪化し病気のリスクが高まる MSFは清潔な水の提供も行っている © MSF雨期には水質が悪化し病気のリスクが高まる MSFは清潔な水の提供も行っている © MSF

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