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【医学誌】薬剤耐性結核の新しい治療法が確立──endTB臨床試験の結果

2025年02月25日
ウガンダでMSFの診療所を訪れる親子 © Stuart Tibaweswa
ウガンダでMSFの診療所を訪れる親子 © Stuart Tibaweswa

1月29日、世界的な医学誌であるThe New England Journal of Medicine誌にendTB臨床試験の結果が掲載された。同試験は国境なき医師団(MSF)をはじめとするNGOが主導した第3相ランダム化比較試験。2017年に始動し、18か国で多剤耐性結核(MDR-TB)およびリファンピシン耐性結核(RR-TB)の短期で安全な経口の治療法の確立を目的に、複数の臨床試験を行ってきた。
 
本試験では、4-5種類の薬剤を組み合わせた5つの短期レジメン(9カ月の治療法)を、18カ月間の従来の治療法と比較した。結果、すべてのレジメンにおいて同等もしくは有意な効果が示された。長期間薬剤を投与する従来の治療法には厳しい副作用が伴うため、短期間で治癒できる治療法の確立は、薬剤耐性結核に苦しむ患者のQOLを著しく改善する。endTBの結果を受け、世界保健機関(WHO)は、2024年8月にMDR-TBおよびRR-TBに対する3つの新しい短期レジメンを推奨することを発表した。

endTB試験のサマリー © 2025 Massachusetts Medical Society.
endTB試験のサマリー © 2025 Massachusetts Medical Society.

endTB試験は、50年ぶりに開発された結核の新薬(ベダキリンとデラマニド)の効果を検証する大きなプロジェクトの一部として始められた。特に従来、治療を受けることや完遂することの難しいぜい弱な立場の人びとをターゲットに、合併症を抱える人や青少年など、これまでエビデンスの少なかった患者も試験に含まれている。この結果は近年発表された他の臨床試験の結果を補い、数十年ぶりに確実で持続可能な結核治療の革新につながっている。

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