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エイズ患者の命を救う薬──約束を果たしアクセスを改善するよう訴える

2023年05月10日
© Albert Masias/MSF
© Albert Masias/MSF
国境なき医師団(MSF)は5月3日、ギリアド・サイエンシズ社に対し、HIV/AIDS患者の主な死因の一つであるクリプトコッカス髄膜炎の治療薬、リポソーマルアムホテリシンB(L-AmB)を、必要とするすべての人が安価で購入できるよう訴えた。
 
2018年、ギリアド社は116の低・中所得国(LMICs)に対して、1バイアルにつき16.25ドルという「アクセス価格」でL-AmBを入手できるようにすると約束した。しかしいまだに一部の国でしかこの値段で供給されないまま、この3月、ギリアド社は2024年にはL-AmB の価格が40%上昇し、23ドル/バイアルになると発表。治療に推奨されているバイアル数は約12本のため、価格は267ドルと高額になり、LMICsの人びとはさらにこの薬へのアクセスが阻害されることとなる。

真菌感染症であるクリプトコッカス髄膜炎は、結核に次いでHIV/AIDS患者の死因の第2位となっている。2022年4月、世界保健機関(WHO)は、4年間の国際共同試験・AMBITION (英文・外部サイト)の結果を受け、新しい治療レジメンにおけるL-AmBの使用を承認した。
 
WHOは、クリプトコッカス髄膜炎による死亡を2025年までに50%、2030年までに90%減少させるという新たな世界目標を掲げており、その治療薬であるL-AmBは非常に重要かつ、需要は今後増加すると見込まれている。
 
MSFは2022年270億ドルもの製品売上を出したギリアド社に対し、2018年の約束を果たし、この薬が最も必要とされているLMICsにおけるL-AmBへのアクセスを早急に改善するよう強く訴える。
 
 
 
 
リポソーマルアムホテリシンB(L-AmB)とアクセス問題に関するレポートはこちら “Liposomal amphotericin B: Solving the access puzzle”(英文)
 

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