医療・研究関係の方へのお知らせ

MSF主導の臨床試験「TB-PRACTECAL」 薬剤耐性結核の画期的な治療法を発見

2023年01月11日
 世界保健機関(WHO)による結核治療ガイドラインの更新を促した国境なき医師団(MSF)主導の臨床試験「TB-PRACTECAL」。その試験結果が2022年12月21日、『The New England Journal of Medicine (NEJM)』に掲載された。TB-PRACTECALは世界初の多国間ランダム化比較試験で、薬剤耐性結核(DR-TB)患者に対する治療レジメンを比較した。新たな6カ月の経口治療レジメン(※)では89%の患者が治癒し、従来の標準治療より短期間で効果的かつ安全であることが示された。

※ベダキリン、プレトマニド、リネゾリド、モキシフロキサシンを使用した新しい結核治療法(総称BPaLM)


掲載された研究論文はこちら(英文)
A 24-Week, All-Oral Regimen for Rifampin-Resistant Tuberculosis

本臨床試験の責任者であるバーン=トーマス・ニャングワ医師は、「厳しい査読を経て、試験結果がNEJMに掲載されたことを嬉しく思います。WHOの推奨に続く今回の掲載は、政策担当者や治療提供者がこの短期レジメンの採用を決定する上で、重要なエビデンスを提供することになるでしょう」と語る。「結核の治療法は50年以上も変わらぬままでした。治療薬を問題なく購入できる高所得国の人びとにとっては、大きな影響がない病気だからです。MSFによるこの臨床試験は、その差を埋めようとする試みでした。必要とするすべての人が治療にアクセスできるようにすることが不可欠なのです」
 
経口治療レジメンは毎年50万人のDR-TB患者に希望を与える一方、6カ月の治療コースはいまだ高額だ。MSFはベダキリンをはじめ結核治療薬が適正な価格になり、少なくとも治療レジメンの価格が上限500ドルまで下がるよう訴えている。
 
 
その他結核に関する記事はこちら

この記事のタグ

関連記事

活動ニュースを選ぶ