事務局からのお知らせ
虐待・搾取・ハラスメントのない活動環境の実現を目指して
2026年08月28日MSFは、虐待・ハラスメント撲滅に向けて行ってきた取り組み、課題、前年度に寄せられた容認できない行動の通報件数と内部調査の結果を声明として発表してきました。そして今年も、2025年の通報件数、および現在の取り組みに関する最新状況をご報告いたします。MSFは引き続きこの重大な問題に一丸となって取り組んでまいります。(2024年度の報告はこちら)
不正行為の通報体制
- 研修、活動地視察、調査を担う新たな役職の創設や人員増強
- 問題解決に必要な対策を検討するためのスタッフ向けワークショップや個別相談の実施
- ハラスメント、虐待、搾取の通報の仕方についてスタッフに提供される手引きの改善・周知・徹底
- 活動地における患者や地域社会への啓発の強化
- MSF全体でのデータ収集・共有
- 組織的課題への取り組み強化および多様性・公平性・包摂性(DEI)の奨励
機密保持
行動アカウンタビリティ年次報告(2025年)
2025年の通報・苦情の件数は、前年と比較して18%増加し、1021件にのぼりました(2024年はその前年比較で21%増加の864件)。国境なき医師団の活動内容の幅広さやスタッフの数、活動範囲の広さを鑑みると、患者やその介護者、地域住民の方々から虐待や不適切行為について十分に報告されていないことを懸念しています。
2025年の医療・人道援助活動地からの通報
- MSFで働くスタッフの88%(5万8771人)は活動地での業務に従事しており、そうしたスタッフからの通報・苦情は、2025年は1021件となり、2024年の864件から増加しました。
- このうち、554件の調査が行われ、257件が虐待ないし不適切行為にあたる事案と認定されました。2025年末時点で調査中のものもあります(※)。
- 認定された257件の中で220件を、何らかの形態の虐待(性的搾取・虐待・ハラスメント、権力の乱用、嫌がらせやいじめ、差別、搾取、攻撃的行為、また、報復や虚偽の報告、介入、守秘義務違反を含む不正な事案管理など)と認定しました(2024年は256件)。
- 何らかの形態の虐待を理由に合計96人のスタッフを解雇しました(2024年は84人)。また、事案の重大性に応じて、停職、降格、正式な文書による警告、強制的な研修など、他の処分も行っています。
- 220 件の虐待事案のうち、127件が性的搾取・虐待・ハラスメントで、2024年の126件より増加しました。当該の事案調査の結果に基づいて解雇されたスタッフは71人で、2024年の58人から増加しています。セクシャル・ハラスメントのような行動には、さまざまなものが含まれます。
- その他の事案として、嫌がらせやいじめが38件、権力の乱用が23件、攻撃的行為が6件、搾取が10件、差別が12件、不正な事案管理が4件、それぞれ認定されました。
- 不適切行為として確認された事案は37件で、2024年の52件から減少しました。不適切行為とは、上記の虐待行為にはあたらないものの、MSFの行動基準に沿わない行動のことで、不適切な人事管理、不適切な人間関係、社会通念上不適切とされる行動、チームの団結を揺るがす行動、不適切なコミュニケーション、薬物やアルコールの乱用などが含まれます。
※ 案件によっては、初期評価の段階で虐待には該当しないと判断され別の方法で対応されたものや、取り下げられたもの、年度末の時点で調査中の件もありました。
現地採用スタッフや患者や地域住民など、これまで通報・苦情が少なかった層からの件数が増加し続けています。しかし、報告を促し、制度への信頼を高めるためには、今後もさらなる改善が必要です。
患者とその介護者から提出された苦情の総数は、2025年に80件、地域住民(MSFスタッフが遭遇した患者およびその他の地域住民を含む場合もある)から60件と合わせて、合計140件でした(2024年は80件)。 その他の外部関係者からの通報は79件で、これは、物資の納入業者、メディア関係者、他団体の職員、協力先パートナー、元MSFスタッフ、MSFの契約外のスタッフからの通報を含みます。匿名の通報もありました。
患者や地域社会からの通報が増えているものの、自身の権利や、MSFスタッフに期待される行動基準について理解を深められ、通報をしやすくするよう、患者や地域社会の人びとへさらなる働きかけが必要です。また、虐待や不適切行為に対して安心して報告し、MSFの責任を追及するために、利用しやすく、適切で、信頼できる苦情処理メカニズムを確保する必要があります。同時に、虐待を防止する取り組みも引き続き重視していきます。
現地採用されたスタッフから提出された苦情の総数は2024年の414件から2025年は467件へとわずかに増加しました。これらのスタッフが安心して報告できるよう支援する取り組みを継続していきます。
MSFのスタッフおよび組織外の個人から寄せられたすべての苦情を検討した結果、差別に関する通報は79件あり、2024年の75件からわずかに増加しました。
以前より多くの人が差別について通報するようになりましたが、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)に関して、いかなる形態の差別行為であれ、その被害を受けた人びとが確実に、安心し、制度を信頼して報告できるよう、継続的かつ持続的な取り組みが必要です。
活動統括本部からの通報
MSFは2020年以降活動地からの通報とともに、世界各地の活動統括本部(オペレーション組織、事務局など)からの通報・苦情も集計しています。MSFの全スタッフの約12%(約8000人)が世界各地の統括本部に勤務しています。
活動統括本部における通報・苦情のデータは、世界各地で異なる法律や人事プロセスに関連しているため、団体内で完全に調整していない可能性があり、標準化する努力を続けています。
2025年は全ての事務局から101 件の事案が通報され、2024年の81件から25%増加しました。
上記の通報・苦情のうち、42件を虐待もしくは不適切行為にあたる事案と認定しました(内、2025年末時点で15件は調査中で、虐待ではない通報や他の手段で対応された通報も含まれます。)
一部案件は両方に相当することから、2025年は38件の虐待と20件の不適切行為が認定されました。(注:虐待と不適切行為の両方の要素を含む事案もあったため、合計は一致しない場合があります)。2024年には35件の虐待と19件の不適切行為が認定されました。
2025年は全体で26人が指導もしくは口頭か文書による注意などの処分を受けているほか、11人が解雇処分を受けています。




