ジャパン・イノベーション・ユニットのブログ

“つまらないオリエンテーション”を打ち破れ!

2020年04月22日
"Which lines?" by beyond_the_sea01 is licensed under CC PDM 1.0
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By 国境なき医師団ジャパン・イノベーション・ユニット

なぜより良いオンボーディング/オリエンテーションのプログラムが必要なのか

あらゆる組織の成功には、新規採用者への適切なサポートの提供が不可欠です。これまでの研究によって、このようなオンボーディングにより、スタッフの定着率と職務遂行能力の両方が改善されることが実証されています(例示1、例示2、例示3)。

MSFでは、90%以上のフィールドスタッフを現地で採用しており、また活動地によって状況が劇的に異なるため、その状況に応じて多様に適応することができるオンボーディングプロセスが必要です。さらに、残りの10%のフィールドスタッフは、一般的に6〜12か月間活動地にて勤務している海外派遣スタッフです。このように高頻度でスタッフの入れ替えが行われているため、適切なオリエンテーションがより重要であることを意味しています。MSFがこのようにして人材を管理するのは、運用上の強い理由があります。しかし、全体的な有効性を考えると、オンボーディングプロセスが重要であることは明白です。
 
現状のブリーフィングでは、このようなニーズを満たしていないことは、MSF全体で認められています。これに対応するため、MSF日本イノベーションユニットは、オペレーションセンターパリからの依頼で、フィールドスタッフに対するオンボーディング/オリエンテーションプロジェクトに取り組み、特に新たに活動地に到着してから最初の一か月に焦点を当てたプログラムを開発することになりました。
 

これまでの経過

2019年に、さまざまな分野のバックグラウンドを持つ14人のスタッフに対して、チームに新しく採用されたメンバーにどのようなブリーフィングをするか、また彼らがMSFに初めて参加したときにどのようなブリーフィングを受けたかをインタビューしました。これらのインタビューによってすぐに明らかになったのは、海外派遣スタッフと比較して、現地採用スタッフに伝えられる情報には大きな違いがあることでした。現地採用スタッフのブリーフィングでは専ら職務内容に焦点を当てていることが多く、一方の海外派遣スタッフにはプロジェクトの背景や活動内容についての長いブリーフィングも行われています。そのため、現地採用スタッフがMSFプロジェクトに最初に参加したときに直面した難しさを確実に捉えるために、インタビュー対象者を広げました。
 
次に、オリエンテーションおよびオンボーディングプロセスに関する既存の学術文献を参照し、インタビューにおいて収集したデータを分析しました。これにより、MSFのブリーフィングに関する3つの主な洞察を得られました。
 
1. MSFプロジェクトとその活動内容は多様であり、全活動地に共通する普遍的なブリーフィングプログラムを開発するのは困難であること
2. MSFスタッフは、彼ら自身が職務および活動地の状況についてブリーフィングを行う最適な情報源だということ
3. 多くのスタッフがブリーフィングについて、準備を含め非常に面倒かつ退屈だと感じており、結果としてその内容と質の一貫性が大きく欠けているということ
 
次に、これらの3つの洞察を基にアイデア出しを行い、考えられるソリューションの数を徐々に絞り込みました。その結果、これらの洞察に基づいて構築するソリューションとして最も有望なものは、ブリーフィングの準備を「ゲーム化」することになりました。ゲーム化により、情報の重複、矛盾、準備の負担を最小限に抑えながら、ブリーファーの専門知識を最大限に取り入れることができます。また、その結果として、オンボーディングプロセスをよりシンプルに、より体系的に、より効率的に、そしてより柔軟にすることができ、ブリーファーと新しいスタッフの双方にとってより楽しいものとすることができます。さらに、すべての活動地および事務局に適応するために十分な柔軟性を持たせることも可能です。

これからのステップ

私たちは、2020年3月末までにゲームの最初のプロトタイプを完成させる予定です。その後、事務局2か所と活動地2か所で初期テストを行います。テスト中に収集されたデータに基づいて、ソリューションを確認および改善していきます。

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