海外派遣スタッフ体験談
子どもたちのための医療援助に従事
アサニ 美里
- ポジション
- 医療チームリーダー
- 派遣国
- 中央アフリカ共和国
- 活動地域
- ベルベラティ
- 派遣期間
- 2016年5月~2016年11月

- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
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今回で中央アフリカ共和国は3回目の派遣となります。中央アフリカ共和国の派遣を終え、日本に帰国し数週間が経過すると、あの独特な空気が懐かしくなり、現地に戻りたくなります。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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とにかく休養です。体も心もくたくたになって帰ってくるので、次の派遣に(※)備えて体力回復とやる気を出すためにです
- 2017年3月からイラクでの活動に参加
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
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どんなありえない状況や信じられない状況があっても、まあこんなものかと驚かないようになることでしょうか。すべてがこうなってしまっていいのか、ちょっとこれでいいのか疑問ですが……。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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今回のプロジェクトは、中央アフリカ共和国のマンベレ・カデイ州のベルベラティで、病院とヘルスセンターを支援するというプロジェクトです。病院では、小児科と栄養プログラム(一次医療、二次医療)を管理していました。
医療チームは、巨大な病院チームと、保健省と連携しているアウトリーチチーム(ヘルスセンター)と大きく2つに分かれています。その中にヘルス・プロモーションと心理ケアが入っています。その他に薬剤師と大きなロジスティシャン・チームが医療チームの支援と協力をしていました。外国人派遣スタッフは13人で現地スタッフは総勢270人程度でした。
6月から7月にはマラリアの流行がピークに達し(エンデミックな地域のため、年中マラリアは発生している)、6月から7月上旬には栄養失調のピーク、そして10月ごろからは呼吸器感染症(肺炎、気管支炎など)が出てきていました。また、マラリアが重症化し、重度の貧血になる子どもが多く、ピーク時には週に100件の輸血をしていました。
新生児集中治療室(NICU)を備えていたせいか、体重1000g前後までの早産や低体重児のケースもかなり多くありました。
また、治安が安定している地域のせいか、人の動きも多く、そのため交通事故(特にバイク)による外傷も多くありました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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平日の勤務時間は、午前8時から午後5時でしたが、医療スタッフは朝7時半から働いていたので、私もその時間から働いていました。土曜日の午前中も外国人派遣スタッフは、ほぼ全員働いていました。午後は人によってという感じでしたが、私も土曜日は気付くと、もう午後6時まで働いていたということがよくありました。
アウトリーチ活動をする際は早朝6時半に出発し、ほぼ1日かかります(最も近いところでも片道2時間かかります)。中には片道6時間かかるところもあり、その地域に出向いた際は往復で2泊3日の訪問となりました。
また、ミーティングの数も多く、週1から2回はミーティングでほぼ埋め尽くされる日がありました。月初めは報告書の作成です。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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電気や水の供給もありましたので、生活環境は整備されていたと思います。トイレやシャワーブースもきれいで、快適に過ごせました。ただ雨期だったせいなのか室内の湿気が多く、市場で買ったかごやいす、木製の貴重品入れなどすべてがカビてしまい、それらの家具を部屋から出しました。布製の旅行バッグもカビくさくなりましたので、本当に困りました。番犬ならず番猫がいてネズミやトカゲ退治をしてくれていました。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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日本でもNICUは難しいのに、このアフリカで保育器なしで800g~1000gの子供をケアできている現状に非常に驚きました。ましてや医師や看護師など資格保持者が非常に少なく、医療水準も低いと言われている国で、ここまで医療ケアが実施出来るようになりました。ただこれまでのMSFの支援があっての結果なので(100%MSFのスタッフが支援)、MSFが撤収した後に、保健省がこの医療体制を維持していけるか?というと残念ながらそれは色々な意味で難しいと思います。MSFのキャパシティが年々上がり数年前には救えなかったケースも救えるようになってきていますが、その国のキャパシティとの差が大きい場合、将来的にどう支援していけばいいのか(プロジェクトを終了する際)、まだまだ考えなければならないことが沢山あります。
- Q今後の展望は?
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体力回復でしょうか。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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体一人ひとりができることには限度があります。しかも違う文化習慣の中なのですぐに大きな変化は期待できません。もし小さな変化や改善が見られたら万歳です。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2015年11月~2016年3月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:マノノ
- ポジション:プロジェクト・コーディネーター
- 派遣期間:2015年8月~2015年11月
- 派遣国:中央アフリカ共和国
- プログラム地域:バンギ
- ポジション:医療チームリーダー
- 派遣期間:2014年4月~2015年2月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:キサンガニ
- ポジション:Nursing Team Supervisor
- 派遣期間:2013年3月~2014年1月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:シャブンダ
- ポジション:医療チームリーダー
- 派遣期間:2012年3月~2013年1月
- 派遣国:ブルンジ
- プログラム地域:ギテガ
- ポジション:プログラム責任者
- 派遣期間:2011年10月~2012年1月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:キンサシャ
- ポジション:副医療コーディネーター
- 派遣期間:2010年11月~2011年7月
- 派遣国:ソマリア
- プログラム地域:ソマリランド・ブラオ
- ポジション:医療チームリーダー
- 派遣期間:2010年1月~2010年7月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:ニャンガラ
- ポジション:医療チームリーダー
- 派遣期間:2009年5月~2009年11月
- 派遣国:中央アフリカ共和国
- プログラム地域:バタンガフォ
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2008年8月~2009年1月
- 派遣国:スーダン
- プログラム地域:カグロ
- ポジション:助産師/看護師
- 派遣期間:2007年8月~2008年6月
- 派遣国:ニジェール
- プログラム地域:ダコロ
- ポジション:助産師/看護師
- 派遣期間:2007年2月~2007年6月
- 派遣国:チャド
- プログラム地域:イリバ
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2006年3月~2006年12月
- 派遣国:コートジボワール
- プログラム地域:ビヌイエ
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2005年5月~2005年11月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:ブニア
- ポジション:看護師
- 派遣期間:2004年2月~2004年5月
- 派遣国:コンゴ民主共和国
- プログラム地域:ブニア
- ポジション:看護師
- 派遣期間:2003年5月~2003年11月
- 派遣国:ブルンジ
- プログラム地域:マカンバ
- ポジション:助産師